2020年教育改革 まずは学校現場から~先生が輝くための第一歩

2020年の新学習指導要領実施まで、もうあとわずかです。
大学入試が変わり、小学校を中心に英語教育やプログラミング教育が新たに設定され、教科縦断の学びなどの多くの改革が始まります。

今回は、このような教育改革の流れの中で、現在の教育現場でどのような課題があり、何ができるのかについて、お話しさせていただきたいと思います。

目次
1.新学習指導要領「生きる力」について
学校は何を教えるところ?
日本の学校教育の変遷
2020年以降教育現場に必要なこと
2.急務!先生達の指導力向上
教育現場の面白い現象
先生理想論?
3.学校現場の本音
先生達の悲鳴
20年前から?教育現場のブラック化
働き方改革?最近の教育現場事情
4.学校現場でできること
現場でできること?
最も大切で最も効果的な基本のキ
教育現場の思い込み
Let’s!マインドチェンジ!
5.最後に

1.新学習指導要領「生きる力」について

学校は何を教えるところ?

学校は何を教えるところだと思いますか?

皆さんは何と答えるでしょうか?
海外では、勉強、つまり学問の知識を教わるところという答えが返ってくるようです。
実際、掃除や生活面での指導などをしない国も多いそうです。

一方、日本では、勉強はもちろんのこと、生活習慣や社会規範、集団生活など、人格形成に関わる教育を含めて考えられています。

昔のドラマで金八先生は、中学生に「人」という字の成り立ちを「支え合う=人のあり方」という観点で教えていましたね。そもそも中学校の国語の授業で人の字など習わないですし、人のあり方を説いているところが感動的で、覚えている方も多いのではないでしょうか。
この例はドラマなので少し極端だとしても、私達にとって学校は人を育てるところという考え方が前提にあることは共感していただけるのではないかと思います。

日本の学校教育の変遷

学校は社会のニーズにより成り立っています。

例えば戦後の経済復興から高度経済成長期には、知識や技術を身につけ、とにかく働くことを良しとした教育でした。

その後、知識偏重と家族や自身を顧みないほどの働き方が課題となると「ゆとり教育」が生まれます。

そしてさらにゆとり教育によって学力低下が起こり、多くの人が危機感を覚えた結果、ゆとり教育は廃止され、学習量が戻り、主体的で対話的な学び(アクティブラーニング)が導入されました。

このように、社会のあり方や、その時求められる人材によって教育の内容やカリキュラムは変わっていきます。

そして今現在、社会全体のグローバル化、ITの発達や技術革新によるAIの実用化など、私達の環境はめまぐるしく変わっています。

今回の教育改革はこの社会の変化に対応し、多様化複雑化した課題に、多くの人と協力して取り組み、解決していける人材の育成が求められているということになります。

2020年以降教育現場に必要なこと

このような流れの中で、当然ながら今までのような「知識・技能」を教えるだけでは足りません。
「思考力・判断力・表現力」も身につけなければなりません。
さらに文科省は「学びに向かう力・人間性」も重視されるとしています。

新しい学習指導要領はこのような観点から現在の社会にあったプログラムに変わっているのです。
「生きる力」と題されています。

具体的には、
国際社会で活躍するために必要な英語力 ⇒知識・技能・表現力
今や技術革新に欠かせないプログラミング教育 ⇒知識・技能・(論理的)思考力
教科を超えて総合的に考える教科縦断の学び ⇒知識・技能・思考力・判断力・表現力・学びに向かう力
というように当てはめられると考えられます。
さらに道徳などで人間性について高め、「主体的で対話的な学び」によって、全体で「生きる力」を身につけることを目指しています。

これが新しい学習指導要領の簡単な概要で、社会全体のニーズとして学校に求められているものになります。
現場の先生はこの方針に従って教えていくことになるのです。

2. 急務!先生の指導力向上

教育現場の面白い現象

私はかつての中学校の講師を経験しており、数多くの学校と先生を見てきました。そこでたくさんの教室で授業をするうちに、面白い事に気がつきました。
それは、各クラス、担任カラーが本当によく現れるということです。

例をあげますと、
元気な先生のクラスは勢いがあります。
穏やかな先生のクラスはほんわかした空気感が漂います。
余裕のない先生のクラスは殺伐とし、不安が強い先生のクラスは荒れます。
子ども達に丁寧に対応している先生のクラスでは授業がしやすく、子どもと関わる時間が少ない先生のクラスは授業を聞いてない子が多かったです。

このようにみていくと、いかに担任の先生そのものが子ども達に大きく影響するかがわかります。

そう考えますと、これから求められている人材に子ども達を育てるためには、先生達に、知識・技能だけではなく、思考力・判断力・表現力、学ぶ姿勢、人間性が必要ということになってきます。
生きる力のない先生のもとで子どもが生きる力を身につけられるとは、到底思えないわけです。

先生理想論?

今までも、学校の先生は人格者であるという理想像がありました。
実際、保護者にとっての良い先生は、授業が上手いだけの先生ではなく、学級経営を滞りなく行い、トラブルが起きても適正に対処できる先生、または、生徒一人一人をしっかり見てくれる先生です。
先生には人間的な弱さや甘さが許されないところが世間全体に今もあると思います。

しかしそのような人格的に申し分のない先生がどれだけいたことでしょう?
先生達にしてもそこまで求められても手に余ると感じているのではないでしょうか?

しかし2020年まではあとわずかです。
否応なしに先生達は、今まで通り知識・技能は教えて、さらにそれを活かしていくような活動を子ども達が主体になってやるようにしなければなりません。

教えるスキル、先生自身の生きる力、これらを2020年の新学習指導要領実施までに少しでも上げていくことが教育現場での急務となることは誰もが納得するところだと思います。

3.学校現場の本音

先生達の悲鳴

では実際に現場の先生達はどう思っているのでしょう?

たくさんの悲鳴が聞こえます。

また、改革ですか~?何度目ですか~?もう何十年も改革って言ってますよね~。
新しいこと?誰がやるんですか?できる人いないんですけど・・・。え?私?
無理です~。今だって目の前の業務でいっぱいいっぱいです。時間がありませ~ん。
そんなことより、子ども達と遊んだり、ふれあう時間を充実させた方がいいのでは~?
プライベートの時間がなさ過ぎです~。休みたいよう・・・
うまくいくんですか~?学校のシステムが変わらなのだから変わるわけがないよ~。

本音はこんな感じではないかと思います。もっといろいろあるかもしれませんね。

20年前から?教育現場のブラック化

近年は、学校の先生達の激務について、マスコミでもいろいろ目にします。保護者から見ても先生が常に忙しくしており、教育現場の疲弊感は幾度となく感じました。

私が講師をしていたころも、少子化に伴い、児童・生徒の数の減少に合わせて学校に配置される人員も削減された結果、いつもぎりぎりの人手で、それまでと同じカリキュラムを行わなければならない現場をいくつも見ました。
先生達は時間に追われ、子ども達ともっと接したいのにできないとぼやき、事務仕事や授業、行事をこなすのに精一杯です。

働き方改革?最近の教育現場事情

昨年やっと「働き方改革」なるものが一部の学校現場に導入され始めました。定時退庁日(5時に帰る日)を設けたり、閉庁日(完全に学校を閉める日、お盆や正月の2~3日)が導入された学校も出てきました。
しかし、現場の先生は業務が減らなければ早く帰ることはできず、結局その分の仕事を休みにしなければならないというのが現状です。

中には教育支援員(障害のある子への支援員)のような補助員を活用している学校もあるようですが、学校によって対応が違うので効果的な対応にはなり得ていません。

多くの教育評論でも業務を減らさなければ始まらないと言われています。
さらに、今回の指導要領の改訂では、授業内容や行事が今までのまま減らされることもなく、新しいカリキュラムが加えられているので、時間的に無理なのではとも危惧されています。

このような時間的にきつい現状の中、最近は、子どもの家庭環境の多様化、マスコミの風当たりの強さ、クレームの増加など、気を遣わねばならないことも多く、先生が子どもや親や世間に対して萎縮してしまっているのをしばしば感じます。
精神疾患を患う先生も増えています。

休む間もなく仕事をしているのに、文句や陰口を言われ、ただ慌ただしく業務をこなす日々では、やる気が起きなくても無理のないことです。

大々的に導入された「ゆとり教育」も撤廃された前例があります。
現場では悲鳴とともにかなり懐疑的な空気もあると思います。
現在の学校のシステムが変わらない限り、何も変わらないと嘆く声も聞かれます。

このような状況で疲れた先生の影響を受けた子ども達はどんなふうに育つのでしょう?
少なくとも生き生きと活動する子ども達ではなさそうです。社会の急速な変化に対応できる生きる力も育つようには思えません。

なんとかすることはできないのでしょうか?

4.学校現場でできること

現場でできること?

このような現状の中、どうやって先生達の心身に余裕を持ってもらい、生きる力をつけてもらえばいいのでしょう?

もちろん一番速く効果的なのは、学校教育の予算を増やして人員を増やすという方法です。本来教育には時間もお金も十分にかけるものだと思います。

しかし、国家や地方自治体の財政難や景気優先の世の中、なかなかそうはなりません。

ですが、現場でもできることはあります。

実はこれがきちんとできている現場は、病む先生は出てきません。先生方にも心にゆとりが生まれて、何より信頼と楽しさを以て仕事に向かえます。
結果として、子ども達にも信頼と楽しさは伝わり、学級経営もなぜか上手く回っていきます。

何だと思いますか?

最も大切で最も効果的な基本のキ

今、現場で最も必要なこと。それは・・・

「報・連・相」です。
言わずと知れた、報告・連絡・相談というビジネスの基本です。

・・・あまりにも当たり前のことで驚かれた方もいるかもしれません。
しかし、講師をやめた後に、異業種のパートをいくつかやってみて、様々な現場を経た私の結論は、学校ほど、この「報・連・相」が徹底していない職場はないということでした。

と、いうか、その大切さを意識していない人が多いのです。

もちろん、できている学校もあると思います。
特に何かあったわけでもなくても、授業の様子や子どもについて、日常的に報告し合い、些細なことでも相談できる環境であれば、間違いなく働きやすく、先生達も元気で、新しいことの導入にも恐れることなく取り組むことができるでしょう。

しかし、私が見てきた学校現場で、それができているところはまれでした。
そのまれな学校でも、「報・連・相」の徹底はかなりの努力をしてやっと、という状態でした。

教育現場の思い込み

問題は、先生達の認識にあります。

担任が自分のクラスを持つということを、すべて自分で抱え込むことだと勘違いしていることが一つの大きな原因です。担任を差し置いて口出せない、なんていうのもよく聞きます。

さらに先生達は、失敗は許されないと無意識に思っている傾向があります。できないのは自分の問題で、自分でどうにかするものと思い込んでいるのです。

できていてあたりまえだから、問題がなければ報告することもないし、問題が起こっても、担任が何とかするものという認識だから、相談しにくい。
実際、相談しても「私ならそうはならないんだけどな~」なんて流されたりすることもありました。

本当にナンセンスです。

自分が任されているのだから責任を持つというのはいいのですが、子ども次第では抱え込めないことなどいくらでもあります。

力不足とかその先生のせいだ、なんていうのも、子ども達を預かり、学校生活を提供する立場としては最悪の発想です。

どんな子どもでも責任を持ち、それぞれが成長できる場としてのクラスを提供するという前提なら、起こる問題を速やかに解決するのは当たり前のことです。
一人で抱えて問題を悪化させるとか、対策しないままにするなんて、ありえません。

しかし、そのような認識を持たずに学級経営をしている先生は意外に多いです。
そういったクラスは子ども次第で学級崩壊など起こす可能性があります。

Let’s!マインドチェンジ!

同じ学年の子ども全員を学年の先生全員で担当している、もしくは学校全体の子どもを学校全体でみる。たとえ、力のない先生がいたとしても、先生全員で協力しあってフォローすれば、問題は解決できます。

たとえ問題がなかったとしても、常に子ども達の様子を把握し、同僚がどのような仕事をしているか、情報の共有は非常に大事です。

一般企業であれば普通に行われていることですが、学校現場しか知らない先生は思ったより多く、他学年で何が起こっているかを知らないとか、管理職と先生が会話しないという例も実際にあります。

業務のみに終始し、コミュニケーションをとらずに孤独に自己完結してしまう先生は、
仕事が面白いと感じたり、醍醐味を味わったりできず、苦しくなって追い詰められていきます。
逆に、情報を共有し、方針を決め、一枚岩で教育活動にあたる。このような組織の中にいる先生達は安心してそれぞれの能力を活かし、達成感を得ることができます。

業務量にしても、やりきれないのならその旨を包み隠さず報告して、しかるべき人(主任や管理職クラス)が再配分できれば効率化が図れます。どの仕事が必要でどの仕事が省けるのか、丁寧に把握して対処できれば、時間に追われている切迫感も少しは解消できるのではないでしょうか?

現場の意識を変え、コミュニケーションをしっかり取り、互いを意識し認め合うだけで、先生達のやる気も自己肯定感も高まります。

先生のみならず子ども達のためにも、まずは、「報・連・相」という基本に立ち返り、意識を変えて徹底していただきたいです。

5. 最後に

2020年の教育改革を待たずとも、先生達の意識を変え、学校現場を楽しく活力あるものにすることは、何よりも大事な課題であると思います。

しかし、今、学校の先生達と話をしていても、先生達自身が変わっていけることを信じておらず、現状をあきらめているように感じます。
先生達はこちらの話をあまり聞こうとしません。これは先生達が自分は認められていないと無意識で思っているからなのです。

先生達は大変能力の高い人達です。その能力を存分に発揮できれば、教育改革も上手くいくことは間違いありません。また、そこで育つ子ども達は国際社会で活躍し、日本をたくましく背負っていってくれることでしょう。

少しでも多くの先生達がそのことに気がついて、前向きに意識を変えていければと思います。また、保護者を初め、多くの人が先生達を信じ支えていくことも大切です。

RCFパブリッシングには意識を変えるのに有効なプログラムがたくさんあります。ぜひ活用していただいて、楽しい教員生活や活力のある学校現場が増えていくことを願います。

〔執筆 Yae〕

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