経験によって「見えるもの」が違う

『まんがで知る 教師の学び3』
~学習する組織とシステム思考~人生100年時代~の学びを生かす

1. 手順の説明

以下において、『まんがで知る 教師の学び3』の「第5章 学習する組織とシステム思考~人生100年時代~」の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。

次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2.本章のまとめ

・「共有ビジョン」(自分たちは何を創造したいのか)という共通の志が必要となり、そうすれば自分の能力と意識を絶えず伸ばすことができる。

・自分たちのまちは自分たちで。人と人とのつながりを求めてコミュニティ(日本人がわずらわしい人間関係を断ち切って、崩したもの)を作り直し、みんなが力を合わせてそれぞれが高まり合う場を作っていく。

・「学習する組織」の中核的な学習能力は、志を育成する力、複雑性を意識する力、共創的に対話する力。その要はシステム思考。そして大切なことは方法論ではなく、システム思考による全体の構造を見る考え方。

・人生100年時代に、「自己マスタリー」※を意識する。自分がどのような未来を創りたいのかを考える。また仕事や生活を通じて学んだ知識や技能は、自分の強み、さらに伸ばしていく目的で積極的に組織や社会に貢献していけば、自分にとってもメリットが大きい。

3.疑問に思うこと

「共有ビジョンが作り出せれば、そこに思いがのり、学習する組織に変化しやすいのだろう。」
この文を重要ポイントとして、ピックアップしました。

これをふまえ、疑問を下記に示します。

「“共有ビジョンが作り出せれば、学習する組織に変化しやすい”とあるが、それは難しいのではないか。思いの共有は思う以上に簡単なことでなはい。
ではどのようにして「共有ビジョン」を持ち、共有していけば良いのだろうか。」

4.学びをどう生かすか

経験したことがないことは、見ることも考えることもできない傾向があり、また感情的に受け入れられないことを否定しがち
「学習する組織」の第一人者・小野理一郎

つまり、経験が人には大事なのです。
頭だけでは受け入れられないことでも、経験があれば見ることも考えることも可能だということです。
つまり本書で述べられている「共有ビジョン」を持つには、頭だけではなく、経験もともなっていかないとそのビジョンは見えません。
そして、さらに一人だけでなく全員が経験をしなければ、共有することも難しいということになります。

ではどうすればいいのでしょうか。
単純に考えれば、経験をすればいいのです。
教師自身が、「体現者」となるのです。もちろん簡単なことではありません。
しかし自らが身をもって体験し、体現者となり、実行したことはビジョンとして描きやすく、また共有しやすくなります。

人はものごとをありのままに見るのではなく、自分の思考に合致することだけを見る傾向がある。そこで役立つのが、「学習する組織」のアプローチ

とも書かれています。

「学習する組織」のアプローチによって、各々の思考のずれをすり合わせ、また新しい発見を生み出す。
それがビジョンの共有にも役立つのです。

もう退職されていた方が「以前の日本の企業は多くの話し合いの場があり、それが伝統だった」と話をされていました。
しかしここ近年、日本企業の話し合いの伝統がすっかりなくなっていったといいます。
「学習する組織」は日本的経営を維持する組織であると、岩手県で校長をされていた池田博男氏は述べています。

これらをまとめると、コミュニケーションを取ることで思考のずれが埋められていくのです。
そして体現者として、実践しながらビジョンを描いていき、共有していきます。
それができれば、共有のビジョンを持ちやすくなります。

5.まとめ

当然ですが、人はそれぞれ違います。
体験してきたことも、思考も。
だからこそ共有のものを持つときは、積極的にコミュニケーションを取り合い、お互いを知っていくという作業が必要になるのです。

現役の教員の時は、大変申し訳ない事に共有ビジョンは私にとっては、ただの紙切れでしかありませんでした。
全くと言っていいほど、自分の中に入ってこなかったのです。
それが理解できるがどうか。それは経験の差だったのかもしれません。
経験するのとしないのとでは、雲泥の差が生まれるということがやっと今頃、様々なことで実感できています。

もっと早くに気づき、活かせていたら…全く違った学校生活を送ることができていたはずです。

【参照】

※「学習する組織」
経営学者のピーター・センゲが生み出して普及させた概念。理論・手法体系。
「目的に向けて効果的に行動するために、集団としての意識と能力を継続的に高め、伸ばし続ける組織」のこと。
変化の激しい社会においては、このように対応する力を伸ばしていける組織が求められている。

※メンタル・モデル
ものを考えたり、行動したりするときに影響する「思考の枠組み」のこと。自分では見えていなくても、他人からは見えやすい。
自らの思考やコミュニケーションの開放性を保つこと。そして自らの無知を知りながら真実を愛する心を育むこと。

※共創的な対話
相手の立場に立って意見を聴き、自分自身の思考について内省的に話すコミュニケーションを方法。共創的な対話により、自分のメンタル・モデルがわかる

※ 「学習する組織」の中核的な学習能力
◎志を育成する力(共有ビジョンと自己マスタリ―によって、自らの能力を伸ばしていく力)
→個人、組織が自分たちが本当に望むことを思い描き、それに向かって自ら望んで変化していくための意識と能力)
◎複雑性を意識する力(システム思考によって、システムの全体像とその作用を理解する力)
→自らの理解と他の人の理解を重ね合わせて、様々なつながりで作られるシステムの全体像とその作用を理解する意識と能力)
◎共創的に対話する力(メンタル・モデルに気づき、一緒に考えながらチームで学習する力)
→個人、組織に根強く存在する無意識の前提を振り返り、内省しながらともに創造的に考え、話し合うための意識と能力)

※システム思考
全体の構造を見ること。解決すべき対象をシステムとして捉え、多面的な見方で原因を探り、問題解決を目指す方法。その問題点だけを取り上げて対策を練ったとしても根本の解決にはつながらない。
組織や市場や社会における相互関連性を理解すること。多様な個の集まった全体を感じること。

※自己マスタリー
人生において自分が本当に求めている結果を生み出す能力を絶えず伸ばしていくこと。
ビジョンと現実の両方を見据えて、探求・内省を行い、自ら意識的に選択を行うこと、そして根源とつながって自身の在り方を磨き続けること。

※共有ビジョン
メンバー間での互いの目的やビジョンの共通性を見出し、その理念と互いに対してコミットするパートナーシップを築くこと。

※人生100年時代
個人が平均的に100歳前後まで生きることができるようになった時代。人生を「教育」「仕事」「引退」の3ステージで考えるのではなく、マルチステージ(人生の新しいステージ)を考える時代。
政府は平成29年、「人生100年時代構想会議」を打ち出す。
何歳になっても、人々が活力をもって時代を生き抜いていける経済、社会のシステムを構想。

※体現者
概念や理念を自らの身をもって現実化・具体的に表現した人

■ 執筆者情報
meg【元小学校教師】
小学校教員の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。