人間関係に悩んでいるなら「この人から何が学べるか?」と考えよう!~前田康裕先生へのインタビュー 第4弾~

弱みをカバーし、強みを生かす人に。

  <Profile>

熊本大学教職大学院 准教授
前田 康裕 氏

1962年、熊本生まれ。熊本大学教育学部美術科卒業。岐阜大学教育学部大学院教育学研究科修了。
公立中学校教諭、熊本大学教育学部附属小学校教諭、熊本市教育センター指導主事、熊本市向山小学校教頭を経て、2017年より熊本大学教職大学院准教授。『まんがで知る 教師の学び2』(さくら社)他著書多数。

同僚との関係次第で、教員生活がよりやりやすくなったり、面倒になったりすることがあります。今回は「同僚と関わり方」について前田先生からお話を伺いました。

同僚との悩みが一番難しい…。

Meg
教師の悩みの一つとして、同僚との関係で悩んでいる人も多いですよね。
前田先生
同僚の悩み…ありますね。
一番難しいと思います。
同僚同士の仲たがいもたくさん見てきましたし、自分自身も四面楚歌の状態になったことも…何度もありましたね。

特に40歳くらいの時は、私も主張が強くて、結構きつい言葉を同僚にバンバン言って、とんがっていた時代がありました。
その時は、やはり敵も多かったですね。
同僚との人間関係は一番苦しむと思います。

Meg
上司と合わないということもありますよね。
前田先生
ありますね。
例えば校長先生と合わないという事もあると思います。
ただ、公立の学校の唯一救いなことは…人事異動があるじゃないですか。

だから本当に「この人は合わない」と思ったら異動届を出した方がいい。
または、その人の異動が近いか、もうすぐ定年退職であったりするならば、我慢しておけばいいんです。

気の合う人といろいろと愚痴を言いながら、そういう人間関係を学ぶことも大事かな、と思います。
ときには愚痴も必要なんです。
聖人君子じゃないんだから。

馬が合わない人から、反面教師として学ぶ

Meg
我慢している時も、ただ耐えているのはツライんですよね。
どんどん追い込まれてしまう。「自分が悪い」となってしまうんです。

前田先生がその時に何か実践されていたことはありましたか?

前田先生
特にですね、私は校長や教頭といった上司に関してはじっと観察することにしました。
上司の態度から学ぶというものは大きかったですね。
「上司のこういう態度は部下のモチベーションを上げる」とか、
「上司のこういう態度は部下が反発するよな」とか、
結構じっと見ていましたよ。

最終局面、というか部下が何か失敗した時に、上司が
「どういう態度をとるのか」
「どういう対応をするのが一番いいのか」
というところを見ていると、今まで気づかなかったことが見えてくることがありました。

尊敬される人というのは、やはり「部下の失敗をどうしたら好転できるか」っていうことを考えられる人なんですよ。

Meg
例えばどのような時でしょうか。
前田先生
例えば今もよく覚えていることがあります。
以前の職場の話なんですが、僕の同僚が、大学の先生に講演に来てもらって、その後に礼状を出すのをすっかり忘れていたことがあったんです。
その同僚は1か月くらいして気づいて、おそるおそる上司に
「礼状を出すのをすっかり忘れてました」と報告したんですよ。

そんな時、普通の上司は
「何やってるんだー!」と怒鳴ったりしますよね。

でも、その上司は一向に叱らずに、部下であるその同僚に
「大学の先生に私がお礼の挨拶に伺います。」というアポイントを取ってくださいということを指示したんですよ。

それから、その上司は、自ら手土産を持参して
「先月はありがとうございました。」
とお礼を言いに行ったんです。
そうすると部下のミスもカバーできるし、礼状1枚でぱっと済ませるよりも、わざわざ足を運んで、しかも手土産まで持ってきてくれたんだから、そっちの方がずっといいわけですよ。

そういうことがいっぱいあったんです。
失敗した段階で部下は「自分が悪かった」と思ってるんです。
それを上司がちゃんとカバーしてくれて、カバーどころかむしろ好転してくれた。
私は、それを見ることで、「人間って、こういう風にやるべきなんだな」と学んだんです。

弱みをカバーし、強みを伸ばす

Meg
最高の上司ですね!
ミスしたことを、さらに責められることが多かった記憶があります。
前田先生
そんなふうに解決策を示さずに、部下の失敗だけ責める上司っているでしょう?
「何やってるんだ!」って怒鳴るだけで、結局状況は何も変わらないっていう。

だから、自分だったらどうすれば今ある組織や人たちを、どういう風にしてうまくやっていけるか。
上司を見て、そう考えていました。
特に部下の「強み」とか「弱み」とかちゃんとわかって、「弱み」をカバーしつつ、その「強み」を伸ばしていく。
そういう上司になりたいと思っていましたね。
実際には難しいものですが。

Meg
まさに理想の上司です。
「怒られる」ことを恐れたり、人間関係で悩んだりしているくらいなら、視点を変えた方がいいですね。
前田先生
そうです。悩むくらいなら、「この人から何か学べないか」と考える。

「こういう物言いはすごくよくないな」とか、
あるいは「どうしてこの人は怒るんだろう」とか考えると、その人は「~べきだ」という考えになってることに気づくんです。

例えば、私は教頭なんだから教諭は自分の命令を聞くべきだと思い込んでいると、教諭がうまくやってくれないと教頭が怒るわけですよ。
「なんでやらないんだ」みたいな。

同僚との関係は、悩んで当たり前です。
むしろ自分と馬が合わない同僚とか嫌な人からは「なぜ嫌なのか」ということを学んだ方が得だと思いますよ。

Meg
その考えに変えていくと、捉え方が変わりますね。
「学ぼう」とすると前向きな気持ちになれる気がします。でも…ツライし、苦しいですよね?
前田先生
すごく苦しいですよ。
僕も苦しかったので。
同僚で合わなかった人、特に感情の激しい人はもうね、いや~な気持ちになる。
いつもなりますよ。
こうやってね、指で数えられますよ。あの人とこの人とって。

まとめ

常に「目の前の人から何かを学べないか」と考えていると、より多くの学びがあることに気づきます。特に人間関係において苦手意識のある人がいる時は、避けたり、耐えるのではなく、「この人から何かを学べないか」という視点でみていくと、つらさや苦しさが半減するかもしれません。

(第5弾へ続きます)

■ 執筆者情報
meg【元小学校教師】
子どもが好きで、彼らをより笑顔にしたいという思いを抱き、教員を目指す。しかし、挫折。あまりにも上手くいかないことばかりで退職を考えるも、奮闘し、次第に毎日が楽しく変化する。子ども達からも「先生大好き!」と言われる日々を送る。そんな小学校教員時代の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。現在は海外に移住し、子ども達に日本語を教えたり、日本の文化を伝えたりする活動を行っている。また現地校で日本の教育との違いを学び、それを日本の教育に活かす方法や感じたことを日々発信している。