まずは「自分を知る」~伝える秘訣はそこにある~

説得のカギは、自分を知ること!

1.手順の説明

以下において、「見方を増やす「口説き」の技術~相手を説得する戦略的プロセス~「Introduction」 (G・リチャード・シェル/マリオ・ムーサ(ダイレクト出版))の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。

次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2.本節のまとめ

・『口説き』※とは、人間関係に裏付けされた説得行為。説得したい相手の関心をひき、自分のアイデアを売り込み、そのプラン等への承認をとりつけることを目指す戦略的プロセス。自分と自分のアイデアから出発し、相手と相手のニーズに向かって一歩一歩近づく行為。

・人を味方につけたいのなら、相手とじかに顔を合わせて話をし、相手が自分のアイデアにどんな反応をするのか、自分の目で確かめる。

・自分のことがよくわからなければ、相手を『口説く』ことはできない。自覚(自分の目標や心情や好みを知る)という土台があって初めて、説得したい相手の姿がよく見えてくる。

・口説きの技術=バランスをとる技術
「自分中心(説得の際に、自分の信用や見解や決意を強調する)視点」と、「相手中心(相手のニーズや認識や心情にフォーカスする)視点」とのバランスを取るスキル。

3.疑問に思ったこと

「自分のことがよくわからなければ、相手を『口説く』ことなどできない。まず鏡をみるところから。自分の目標や心情や好みも分かってないのに、相手を正確に理解できるわけがない。」
「自覚という土台があって初めて、説得したい相手の姿がよく見えてくる。」
これらの文を重要ポイントとし、ピックアップします。

これをふまえ、下記に疑問を示しました。
「相手の説得には、相手を知ることが必要だとは世間でよく言われる。しかし、“まずは鏡をみるところから”という自分を知ることが本当に必要なのだろうか。」

4.学びをどう生かすか

松下幸之助氏(パナソニックを一代で築きあげた経営者)は下記のように述べています。

『私がこれまで自分自身への説得をしてきた中で、今でも大切ではないかと思うことの1つは、自分は運が強いと自分に言い聞かせることである。ほんとうは強いか弱いかわからない。しかし、自分を説得して、強いと信じさせるのである。』

上記のように、自身の運の強さを「ほんとうは強いか弱いかわからない」と言っています。松下幸之助氏は、自分を説得する必要性は述べていますが、その能力があると断言しているわけではありません。
しかし、このように自分に「言い聞かせる」ことによって自分を納得し、それが活力になることを「知っている」のです。
これは「自分を知っている」「自覚している」状態といえます。

またTED※に出演し、会場でスタンディングオベーションを受け、大成功をしたBLACK氏(ヨーヨー世界チャンピオン)が、下記の言葉を述べています。

うまくいかず、共感を得られない人も多くいるといわれている、プレゼンテーションの場であるTED。
そんな会場で、共感を呼び大観衆を説得できた秘訣は何でしょうか。

「プレゼンテーションとは、スピーカーと聴衆のコミュニケーション。」
「自分が本気で伝えたいと思っていることはなにかを知る。」

これが秘訣だとBLACK氏は述べています。
自分の想いを明確にし、コミュニケーションを取ることの重要性を述べています。
これは多くの人が言っていることとも共通しています。
相手を意識していることなので当然ともいえるのかもしれません。
彼もまた、「自分をまず説得する」ということが前提とされています。

このように多くの人が「自分を説得する」ことの重要性を説いています。
自分を知ることとは、単に「知る」にとどまらず、自分の本当の想いを言語化し、表現していくことであると言えるのではないでしょうか。
自分の伝えたいことを、より相手に伝わるようにするにはどうすればいいのか。
それは自分の特性を知ったうえで、その想いを伝えていく事が最も伝わりやすい方法となります。

学校という場では、教師をしていると「口説く」ということはあまり聞きなれないし、使われません。
しかし、説得という意味で言えば、「同僚との間で自分の伝えたいことをうまく理解してもらいたい時」や「保護者との関係を改善したい時」など、何気ない普段の生活で「説得」が必要な場面があります。
説得というより、「伝えたいこと伝える」という行為といった方がいいのかもしれません。
だからこそ、自分の特性を知り、どのような伝え方をすればいいのか。
試行錯誤をしながら、自分を知っていき、最も伝わりやすい方法を模索していけばいいのです。

5.まとめ

頭ではなんとなく、自分を知ることが前提でその後に相手の説得ができるというのは理解できていました。
例えば自分はどういう反応をしがちなのか、またどんな特性があり、それをどう生かせるのかなど、知っておくことは大事なことだ、と。
しかしそれに加え、自分を知ることが、相手により伝わりやすくなります。

それは相手にとっても同様に、心地よいものであるのです。
自分を知ることは容易ではありません。
しかし、そこがスタートでもあります。
まずは自分を知ることで、その想いを伝えていきませんか。

【参照】

※口説き(Woo)
・「相手を味方につける(Winning Other Over)」 才能のこと。
(『さあ、才能に目覚めよう あなたの5つの強みを見出し、活かす』より)
・「➀繰り返して言う。②心の中を縷々(るる)と訴える。③自分に従わせようとしつこく言う。」
(『広辞苑』より)
※TED(コトバンク より)
様々な分野で活躍する人を招き、アイデアなどを語ってもらうイベントを開く米国の非営利団体。名前は「Technology Entertainment Design (技術 エンターテイメント デザイン)」の頭文字。

■ 執筆者情報
meg【元小学校教師】
子どもが好きで、彼らをより笑顔にしたいという思いを抱き、教員を目指す。しかし、挫折。あまりにも上手くいかないことばかりで退職を考えるも、奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われる日々を送るようになる。そんな小学校教員時代の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。現在は海外に移住し、子ども達に日本語を教え、日本の文化を伝える活動を行っている。また現地校で日本の教育との違いを学び、それを日本の教育に活かす方法や感じたことを日々発信している。