偉大な達成の前には…小さな小さな達成感を。

「できる!」という自信が、どんなことをも乗り越えさせる。

1.手順の説明

以下において、「GRIT~やり抜く力」の「『偉大な達成を』を導く方程式」の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。

次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2.本節のまとめ

“「スキル」は「努力」によって培われる。それと同時に、「スキル」は「努力」によって生産的になる。”

例1
・ミネソタ州のウォーレン・マッケンジー(著名な陶芸家)、御年92歳。

<才能×努力=スキル>
仕事が分かり、腕を上げるにつれ、彼が一日に作る出来の良い壺の数も増えた。同時に出来の良い出荷数も増加。
<スキル×努力=達成>
ひたすら努力を重ね、めきめきと腕をあげる。目指す通り「自分にできる限り、最高に心が躍るもの」「人びとの家によく合うもの」を創り、同時に同じ努力によって、より偉大な名匠になった。

例2
・作家 ジョン・アーヴィング(現代アメリカ文学における偉大な語り手:ストーリーテラー)

・彼は重度の読字障害。自分で書いた文章以外は、今でも文字を指でたどりながら読む。
・何か上手くなりたい時、自分の能力以上に背伸びをする必要がある。
同じことを何度も繰り返すうちに、以前はできそうになかったことが、当たり前に出来るようになるが、それは一朝一夕にはいかない。

3.疑問に思ったこと

「ふつうの人よりも読み書きの能力が劣っていることも、アーヴィングには『むしろ強みになった』と言っている。」

この文を重要ポイントとし、下記に疑問を示します。

「とはいっても、なかなか“劣っている”という部分を“強み”にすることは難しい。
一般的に劣っている部分を強みに生かしていくには、どうすればいいのだろうか。著者の例にあるジョン・アーヴィングはどのようにして強みに変えていたのだろうか。」

4.学びをどう生かすか

著者は、「日々の努力の積み重ねにアーヴィングは文学の大家となった。努力と熟練の技によって、彼が編み出した物語は、何百万もの人びとを感動させた。」

と述べています。

しかし、彼は読字障害です。
今でも指でなぞりながらでないと読めないといいます。

しかし、レスリングの経験も影響しているのか、一方で彼の体力について書かれている記事があります。

「(略)一冊の小説を書きあげるのに必要な3年、4年の間、アーヴィングは早朝から夕方近くまで仕事をする。週7日、一日の休みもなく。」
(ジョン・ポール・ニューポート 『ジョン・アーヴィングの世界』より)

また、彼が友人に、

『僕は世界で一番才能のある作家とは言えないかもしれない』
『でもありがたいことに、僕は書き直すことができるんだ。僕はそのへんの誰にも負けないだけのスタミナを、作品に注ぎ込むことができる』
(同上)

とも述べています。
つまり、彼が読字障害を”強み“だと考えているという部分と、それに加え、”体力“があったからこそ、忍耐強く、努力し続けることが出来たと言えます。

それはまた、彼は『以前できそうになかったことが、当たり前のようにできるようになる。』という文からも、努力を繰り返すことができたと言えます。

普通なら諦めてしまいそうなところを、やめずに努力し続けることができたアーヴィング。彼は、『出来なかったことも繰り返せばできる』ということを知っていたから、努力し続けることができたのかもしれません。

これはとても大事なことなのではないでしょうか。

諦めないで続ければ達成できることの体験があるかどうかは分かりません。
しかし、彼の作品の自伝的なところをみると、その様な体験があったのだと思います。

『ものを書くのは技術なんだ。何かを建てることなんだ。』
(ジョン・アーヴィング)

書くことを技術と言い切るところからも、それを才能としてはとらえておらず、自分の努力によって身につけたものだという、書くことを手段の1つとして捉えています。

人は完璧ではありません。
誰しも、障害と言われなくても得手不得手はあります。

それをむしろ“強み”として捉えることが出来たとき、著者の提唱する
<才能×努力=スキル>
<スキル×努力=達成>
の方程式が成り立つのだと思います。

実際に子ども達を見ていると、当然ですが達成のスピードには個人差があります。
しかも、障害と診断されていたり、皆より劣っていると自分で判断している場合は、成長がその場でストップし、達成までの道のりはより長いものになります。

しかし、そんな時でも、周りの大人の対応や声掛け1つで、その後の子どもの動きが変わってくるのも目にしてきました。
まずは興味を持たせる。
そして、どんな小さなことでも、『できる!』という達成感を味わわせる。
その小さな達成感が、積み重なっていくことで、子どもの自信に繋がっていきます。

本書にも書かれているアーヴィングのように、「以前はできそうになかったことが、当たり前のようにできるようになる」という経験を、自信をなくしてしまったり、あきらめそうにいなっている子たちに経験させてあげるのです。

もちろん、先ほども言ったように達成のスピードに個人差があるように、小さなステップの大きさも、やることにも個人差があります。

簡単に小さなステップを超えられてしまう子もいれば、ものすごい時間をかけて超える子もいます。
でも不可能はないのだと、私は教えられました。

教える側としては、骨が折れる作業になるかもしれません。
諦めそうになるかもしれません。
しかし、たったその1つの経験が、その子の人生に大きな自信を持たせてくれるかもしれないのです。

5.まとめ

“達成感”というのは、大事な欲求です。
達成感を味わうことができたら、なかなか人は諦めることはできなくなります。

幼い頃の経験として、この“達成感”を味わうことは、とても大切な、そして必要なことだと言えます。

「挑戦すればできる」という自信を、より多くの子が持つ日本になってほしい、そう思います。

■ 執筆者情報
森田 恵 【元小学校教師】
子どもが好きで、彼らをより笑顔にしたいという思いを抱き、教員を目指す。しかし、挫折。あまりにも上手くいかないことばかりで退職を考えるも、奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われる日々を送るようになる。そんな小学校教員時代の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。現在は海外に移住し、子ども達に日本語を教え、日本の文化を伝える活動を行っている。また現地校で日本の教育との違いを学び、それを日本の教育に活かす方法や感じたことを日々発信している。