1人で抱え込まず、どんどん仲間を見つけよう。

【更新日】 2019年5月15日(水) 主体的・対話的で深い学び
1人で抱え込まず、どんどん仲間を見つけよう。

 ひとりじゃない。皆で子どもを育てていく!


1.手順の説明


以下において、「GRIT~やり抜く力」の『やってみなければわからない」という考え方』の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。

次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2.本節のまとめ


著者の友人、スコット・バリー・カウフマンの例。
彼は、カーネギーメロン大学、ケンブリッジ大学、イェール大学で学位を取得。趣味はチェロの演奏。ペンシルベニア大学の心理学者。
彼は子どもの頃、学習遅滞児だと思われ、14歳まで学習障害のある児童のための特別支援学校に在籍。
しかし、彼の可能性を見出したひとりの教師との出会いがターニングポイントととなり、『ぼくだって、捨てたもんじゃない』ということを学び、あらゆることに挑戦する。

3.疑問に思ったこと


『「君にはせいぜいこの程度しかできない」と決めつけられていたが、「何だってやってみなければわからない」という考えに出会ったのだ。』

この文を重要ポイントとして、下記に疑問を示します。

『こんな風に「どうせ僕にはこの程度しかできないんだ。」思う子が多いのが現実ではないのだろうか。
では、親や教師には何ができるのだろうか。』

4.学びをどう生かすか


2016年4月に障がい者差別解消法という法律が施行されています。
これは学校が発達障がいのある子ども達に、「合理的配慮」※を義務付けるものです。

でも実際は子ども達に配慮がされているかというと、現場では忙しすぎてそこまで手が回っていない状態だといっていいのではないでしょうか。

では、もし自分が教師であったら、または自分が親であったら、何ができるのでしょうか。
その子と出会った時にその子が「学習遅滞児」といわれたり、周りの人がそういう偏見で見ていた時、またはその状態で引き継いだとしたら、どんな対応ができるのでしょうか。

『NHKハートネットTV 2017年5月3日 “障害のある子どもと学校”』の中で、「個別の指導計画(IEP)が有効」だと言われています。
しかし、この「個別の指導計画」は保護者との連携がなくては成り立ちません。
そして大きな問題として、まず公立の教師は時間がないのが現状です。

時間のない中、上記のような指導計画を作成しても、内容のしっかりしたものを作ることは難しいと言えます。
いち教師には時間がない。それに加え、人手不足の学校。

その解決策として、やはり保護者である親の力が不可欠なのではないでしょうか。
私も教員時代に、3年生の時点でひらがなの読み書きができない子がいました。
しかし、その子は今まで何か対応も取られてきた様子はなかったのです。
おとなしい子だったので、問題を起こすことはなく、そのままの状態で放置されていたのだと思います。
(引継ぎ時点で、前担任が異動され、何の情報もない状態でした。)

しかし、そんな私も何かできたのかと言われると、何もしてあげられませんでした。
やったこととと言えば、保護者に現状を知ってもらい、動いてもらうことが精いっぱい。
家庭訪問でも、会ってもらえない日が続き、何度電話しても繋がらない。
もちろん、面談にも顔を出してもらえず。

でもやっと、会うことがかなって、そこからその子の話をすることがスタート出来ました。
それでもマメに会えることは難しかったので、結局、コーディネートとつなげる話等をし、次の担任に引きつぐことになりました。

1人で抱え込んでは、解決にはなりません。
子ども達にとって、有効なのは、連携し、多くの人の力を頼っていくことなのです。
それは同僚だけでなく、親や地域も巻き込んで皆で子どもを育てていく。
そういった根本の考えを変えていく時がきています。

もちろん、クラスの中でも出来る限りの工夫はしました。
字が読めないので、まずは自分の名前だけでも読んで書けるようにしました。
あとは1年間でひらがな数文字だけ、かろうじて読める程度にはなりました。

彼女への工夫をすることが、他の子にとっても有効な手立てであったことは言うまでもありません。
しかし、「もっと時間があれば…。」「もっと人手がいれば…。」と思わずにはいられません。

まずは保護者との連携が第一。
その関門として、上司である教頭先生や校長先生、コーディネーターの先生といった人達をどんどん頼り、皆を巻き込んでいく。
決して一人で解決しないようにすること。

それがいかに傲慢であるかを、のちのち、私は知ることになりました。
1人でどうにかしようなんて、出来っこないんです。
出来ないこととできることを、見分ける力も大事なのです。
1人でも多くの子がそんな1人の教師の傲慢に付き合わされてはたまったものではありません。

ほんの少しの時間でもいいから、相談する。
どんな手立てがあるのか、何か良い方法がないのか。
まずは同僚や上司、仲間に聞くことで、どうにかやっと子ども達への自分のできるベストな対応ができるのだと思います。

5.まとめ


これからもっと、学校は大変になってくると言われています。
でもおそらく、人手不足は解消されることはないと思います。

それならば、自分で動くしかありません。
忙しい!誰かに手伝ってもらいたい!なんて文句を言っていてもはじまりません。
事務仕事はもちろん、自分でやるべきこと。
でも、子どものことに関しては、1人で抱え込んではいけません。

もし仮に周りが忙しそうに見えて、相談できない状況だったとしても、この時代、どうにでも仲間を作ることは可能です。

子どものために、行動していくこと。
多くの子が楽しく、学校に通えるようになるには、子どもたちと関わっているあなたにしか、その現状を変えられないのではないでしょうか。

【参照】
※ 合理的配慮
障害のある人が他の人と平等に暮らすために、周囲の人や学校、社会などが無理のない範囲で行うべき➀支援②ルールの変更③環境の調整をしていくこと。


■ 執筆者情報
森田 恵 【元小学校教師】
子どもが好きで、彼らをより笑顔にしたいという思いを抱き、教員を目指す。しかし、挫折。あまりにも上手くいかないことばかりで退職を考えるも、奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われる日々を送るようになる。そんな小学校教員時代の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。現在は海外に移住し、子ども達に日本語を教え、日本の文化を伝える活動を行っている。また現地校で日本の教育との違いを学び、それを日本の教育に活かす方法や感じたことを日々発信している。