教育改革「英語編」  ~どうしていいのか、どんな準備をすればよいのか不安に感じている全ての先生へ~

教育改革「英語編」  ~どうしていいのか、どんな準備をすればよいのか不安に感じている全ての先生へ~
「どうしよう…英語なんて話せないのに!それに評価なんて出来ない!!」

「今から英会話スクールに通わないと厳しいのかも…。」

 

または、

「ALT※に任せれば問題ないかなぁ…。」

なんて不安で半分逃げ腰な人。

これからやってくる、2020年の教育改革。その中でも小学校の先生達の頭を悩ませているのが、『英語改革』ではないのでしょうか?

 

この『英語改革』で求められていること。

それはこれからさらに加速するグローバルな世界でも通用する子ども達を作ることです。

海外へ出なくても、日本国内で英語を話す人々がどんどん増え続けます。現に、子供達の中にも英語を話す子供が多くなって来ているのではないでしょうか?

そしてもし子ども達が働くようになったら、彼らの同僚や上司が英語を話すことは当たり前になってきます。

 

何よりも、先生達にせまった大問題。

それは英語の教科化によって、小学校5、6年生の子達の指導時間が70時間に増えたということ!さらに評価の必要が出てきたこと!

 

これはどういうことを意味するかというと、

今まではALTに任せておけばよかったことが、2年後からは自分も授業をしないといけなくなり、しかも子供達もある程度のレベルに上げなくてはならなくなった、ということです。

 

さて、どうしましょう…。

 

あと2年後にせまった、教育改革に併せて

「私は英語を話せないから退職しようかと考えてる。」

なんていう先生の声も聞きました。

でもそんなのはもったいない!どうせなら、この機会に英語アレルギーを子供達とともに克服しませんか?

 

ただでさえ、事務仕事に追われ、時間のない中でさらに増えた教科。

しかも、小学校の先生達の多くは、英語が話せないのが現状だと思います。

ならば、これからやってくる「英語改革」にどう対応したらよいのか…。

 

元小学校教員、現在アメリカ在住の筆者の経験をもとに、今までの業務時間を削らずに出来る、英語改革の対応を提案します。

 

英語改革対応マニュアル


 

目次

 

1.この方法で英語を勉強して、失敗しました

 

2.一瞬でメンタルブロックがかかる?

 

3.メンタルブロックがかかる理由

 

4.手っ取り早く英語を身につける方法

 

5.話しかけられるようになったら…

 

6.その楽しさを子ども達にも

 

7.他にも有効な英語習得法

 

8.今回の英語改革で求められていること


 

 

1.この方法で英語を勉強して、失敗しました


 

私は結婚後、渡米しました。

もちろん、その時に勤めていた小学校を辞めて、全く英語なんて話せない状態でアメリカへ行きました。

そして、よく言われる

「海外で暮らせば、英語なんて話せるようになるよ。」

という甘い言葉を信じ切り、現地でさんざんな目に遭いました。

それでもこの国で生きていかないといけない!そう覚悟して、そこから私の英語の勉強が始まりました。

 

試したものは、一般的に日本人が英語上達のために利用するものです。

 

①聞き流すだけの教材

②英会話スクール

③単語の暗記

④インターネット英会話(オンライン英会話)

 

これらは私が全て試してうまくいかなかった教材です。

お金と時間を消費し、残った物はなにもなし。。。

なぜこれらの教材が上手くいかなかったのか、その理由ををお伝えします。

(あくまでも個人の意見ですので、ご了承ください。)

 

①聞き流すだけの教材

なぜこれがダメだったのか。この教材を使って話せるように、英語を使いこなせるようにならなかったのか。

教材としては、もちろん素晴らしいと思います。しかし、これだけでは英語は身につきません。

その理由は、「聞く」ということだけでは、言語の習得は無理だということです。

ではこの教材に、あと何を加えれば上達は見込めるのか。

それは、「話す」ということです。

この教材を利用し、上達している人に共通していることは、英語を使ったり、話したりする機会があるということが挙げられます。

 

あなたにこの教材を聞き流す余裕の時間があるのであれば、お薦めできます。さらに、英語を使う機会があるのならば、なおさらよいのかもしれません。

お金も結構かかります…。

 

②英会話スクール

 

なぜダメだったのか。その理由は簡単です。

英会話の学校へ行きながら、その場ではほとんど会話をしなかったからです。

「そんなことないでしょ?」

「普通はしゃべるよ。」

いえいえ。

日本人の多くは、結局英会話スクールに行っても、黙りこくってコミュニケーションが取れないのだそうです。

それはアメリカで知り合った、日本の有名な英会話スクールで働いていた友人が教えてくれました。あまりにも生徒達が黙っているので、苦痛になり1年で辞めたと話していました。彼はお隣の国、韓国でも教えていました。韓国では楽しかったのに、日本では教えていても反応がないからつまらない。

つまり、ガンガン人の目を気にせず、どう思われるかを気にせず、自分の上達のために有効活用できる人であればお薦めできます。

 

③単語の暗記

 

これは受験でもお馴染みだった暗記の学習法です。

しかし…暗記して満足してしまう人が多く、それを上手く利用出来ているかは疑問です。

しかも、実際に使える単語と単語帳の単語にはズレがあります。

「覚えた単語を使えなければ意味がない。」

とはよく言われますが、まさにその通りです。

覚えるだけにとどまらず、すぐに使ってみる。それができるなら、有効な英語の学習法といえると思います。

また、必要に応じて「知りたい!」という欲求が沸いてきたときは、ぜひ単語帳を開いてみてください。

 

④インターネット英会話(オンライン英会話)

 

これは効果があると思って続けていました。

ただし毎日30分程度の時間を拘束されるので、それだけの時間をとることができるのならば、の話です。

私の英語の先生はフィリピンの方でした。とても発音がよく、日本人にも慣れているので、やりやすく自信をつけるには有効でした。

 

しかし、実際にALTとして日本に来る人の中には、発音に癖のある人もたくさんいます。もちろん、日本への旅行者、移住を考えている人も含めればなおさら、日本の方言のように聞き慣れない発音が飛び交うようになります。

しかも、これからやってくる教育改革に向けて、多く海外からの英語の先生として派遣されてくることが予想されます。

きれいな聞き取りやすい発音の人に限らず、訛や癖のある発音の方も多く採用されると思います。

ですから、もしこの「インターネット英会話」を利用されるなら、自分の目的に合わせてその先生の出身国を選ぶことをお勧めします。

でも最終的に、このオンライン英会話も続きませんでした。時間がとれなくなったという言い訳付きで。。。

 

今まで英語にお金をいったいいくら費やしてきたのだろう…そう思うと情けなくなります。

でも、そんなお金をかけなくても、

簡単に英語は話せるのです。

 

ただそれには1つ越えなければならない『壁』があります。

ある人によっては大きな『壁』、

ある人にとってはあまりにも単純で簡単にこえられる『壁』です。

 

その『壁』とは、何でしょうか?

 

 

2.一瞬でメンタルブロックがかかる?




日本人にとって『英語』はメンタルブロックが一瞬でかかってしまう、恐ろしい魔術のようなものなのです。

 

「何を言ってるの?」

と思われましたよね。

 

でも実際、街で英語で話しかけられたら、固まってしまう人は多いのではないのでしょうか?

また、仮に外国の方が街で困っていたら、自ら声をかけられる人は何人いるのでしょうか?

そして、日本人は英語の話せる人に一目置き、なぜか日本人より外国人にとても優しくするというおかしな習性が身についてしまっています。

 

そう、私たち日本人にとって小さな頃から埋め込まれてきた、『英語』に対するメンタルブロック。

メンタルブロックさえ外れれば、その後には楽しさがやってきて、英語の悩みも一変します。

 

3.メンタルブロックがかかる理由


 

なぜ、メンタルブロックがかかってしまうのでしょうか?

 

それはあなたの中に、

「『完璧』に英語を使いこなせないと恥ずかしい。」

という想いがあるからです。

 

英語を話している、使っている自分は『完璧』でありたい。

間違ったら恥ずかしい。

そんな風に思ってしまう。

 

誰でもそうですよね。

ペラペラとALTの先生と話をする自分。そんな自分だったら、なんてキラキラしてカッコいいんだろう!と。

 

特に先生達は、子ども達の前で恥はかけない、と思われている方も多いと思います。

もちろん威厳は落ちると考えてしまいがち。

 

でも、子ども達にその学ぶ姿を見せるということは、決して無駄なことではないし、先生自身の評価や威厳を下げることにはならないと思います。

 

または、私のように、

学生時代、英語の授業がつまらなかった。

英語の点数が悪かった。

英語の授業中に恥をかいた。

等の、何かしらの苦手意識を皮肉なことに

『学校』という場で植え付けられてしまった人もいると思います。

 

これは全くの誤認であって、もったいないことです。

なぜかというと、英語に苦手意識を持ったきっかけを作ったのは

あなた自身ではなく、学校という場なのですから。

 

あなたは『英語』が出来ないの訳ではないのです。

まして、話せない訳でもないし、コミュニケーションを取れない訳ではありません。

『英語』の学び方、『英語』の使い方を知らないだけなのです。

なぜなら『英語』は、単なる道具にすぎないのです。

 

だからこそ、子ども達には、同じように『英語』に苦手意識を持ってほしくないと思っています。

 

 

4.手っ取り早く英語を身につける


 

『完璧』を捨てたら、やっとここからが本題です。

『自分の中の英語は話せない、という思い込み』を解いたら、やっとここから始まります。

 

特に小学校の先生をされている方なら、一般の職についている方よりも英語を身につけるのは有利なんです。おそらく中学校の先生も。

 

それはなぜか?

 

それは、

ALT(または英語の専任教師)が毎週来るからでしょうか?

英語の授業をしなければいけないから、英語に触れる機会が多いからでしょうか?

 

いいえ。

先生が普段から当たり前にしていること。それを生かしていくだけで、英語力は格段にアップします。

 

それは、

『子ども達(先生方、地域の方)に大きな声で挨拶をする』

ことがすでに出来ているからです。

 

小学校の先生にとっては、大きな声で誰にでも挨拶をするということは、ごくごく当たり前のこと。

(逆に、ここがまだクリア出来ていない方は、ここを克服してください。学校内に留まらず、街ゆく人全てに挨拶や声かけができたら、もう英語はすぐにでも話せます。)

 

その勢いで、ALTの先生や英語の専任の先生に元気にどんどん話しかけてください。

 

「はぁ~?それだけ?」

なんて拍子抜けされたあなた。

 

たかがそんなことでも、それが出来ている人はとっくに

英語が話せているんです。

そんな人たちは、

「英語なんて簡単だよ。」

と言って、気軽にALTに声をかけていませんか?

 

実際、私の住んでいるところでは、(アメリカの田舎町です)

道行くすれ違う人たちがみんな挨拶をしてくれます。

知らない人でさえ、です。

(引っ越してきた当初は、全く知らない人なのに、全ての人があいさつをしてくれたことに驚きました。)

車に乗っている人でさえ、歩行者に手を振ってくれます。

これは余談でしたが…。

 

5.話しかけられるようになったら…


 

最初は単語だけででももちろん十分です。挨拶だけでももちろん充分です。

それと、実際ALTの先生は、たくさん日本人とコミュニケーションをとりたいと思っている人も多いです。

 

そのように自ら話しかけられるようになったら、

日に日に自信とともに、むくむくと

「もっと話したい!」という気持ちが沸いてくると思います。

 

もちろん、日々の仕事は忙しくて時間はない。

 

でもちょっとした立ち話なら、ものの2~3分程度でもよいと思います。仕事に差し支えない程度にすれば問題はなく、無理なく出来ると思います。

その中で語彙を少し増やして違うアプローチをしてみたいな、なんて思えるようになれば儲けもの。

その時に、必要なこと(単語やことわざ等)を吸収すればいいのです。

 

 

6.その楽しさを子ども達にも




そして英語を学ぶ楽しさを知った先生なら、

きっと子ども達にもその気持ちを味わわせることが出来ます。

 

はじめから、苦もなく英語を使いこなせる先生よりも、

子ども達にとっては同じ悩みを持っていた先生から学んだ方が数倍身になります。なにより、「楽しさ」を学べます。

 

子ども達は担任の先生の姿を見ています。

先生の真似をします。

先生がALTとのやりとりを子供達に伝えば、子供達は喜んで休み時間にALTを探し、話しかけまくるでしょう。

 

先生が英語が苦手意識を持っていれば、おのずと子ども達も苦手意識を持ってしまうんです。

先生が楽しく、率先してコミュニケーションをとっていれば、子ども達のモチベーションも上がり、子どもにとっても楽しい授業時間になります。

 

7.他にも有効な英語習得法


 

これだけでは物足りない方、きっといますよね。

他にも、お勧めの発音の矯正法等はありますが、ここでは紹介しきれないのでまたお伝えする機会を持ちたいと思います。

 

8.今回の英語改革で求められていること


 

前述したように、国際社会に応じて必要だから。

これからどんどん外国の方が入ってきて、それに対応する人材を育てるために必要だから。

などの理由が挙げられます。

 

実際の英語改革では、

 

小学校 3、4年生「外国語活動」

・英語のリズムなどに慣れ親しむ

・言葉としての面白さや豊かさに気づく

・聞く、話すことの言語活動

 

小学校 5、6年生「教科英語」

・評価あり

・活字体の大文字、小文字

・文および文構造の一部

・聞く、話す+文字指導(読む、書く)の導入

 

中学校・高校

「英語で行うことを基本とする」

 

この教育改革の内容を見ると、小学校教員に求められていることは、

・英語という、日本語以外の他言語の楽しさを知る

・中学になった時、英語での授業で対応出来る子どもを育てる

だと思います。

 

このような表面的なこと以上に、もっと子ども達の内面的なことへのアプローチが求められていると思います。

 

それはつまり、

英語の知識を与える、教える。

そのこと以上に、英語の、言語の、面白さや学ぶ楽しさや奥深さを伝えていく。

興味関心を持つきっかけをつくる。

 

小学生という時期に、多くの子ども達の中に一点の喜びや楽しさを感じさせることが出来る役割を持っているのは、親御さんとそして小学校の先生なのです。

 

この時期に「英語はつまらない」といって英語アレルギーにさせるのか。

それとも、「英語ってなんて楽しいのだろう!」と興味を持たせるのか。

それは、小学校の先生の英語への「楽しみ方」にかかっているのだと思います。

 

学校の先生になれたあなたなら、先生として頑張っているあなたなら、きっとこの英語改革も乗り越えられます。

そのお手伝いをこれからも継続的にしていきたい、そう思っています。

そして多くの日本人が外国の方におびえることなく、堂々と、そして何よりも楽しくコミュニケーションをとっていく。

そんな世の中にしていきましょう!

 

 

※ALTとは

Assistant Language Teacher の略。外国語を母国語とする外国人指導助手のことです。小中高等学校の語学の授業を行う日本人教師の補佐をするために、派遣された人達です。