「苦手な子がいる」と思うあなたへ──その奥にいた“小さな自分”と出会って
「苦手な子がいる」と感じるあなたへ──その奥にいた“小さな自分”と出会って
「教員である以上、子どもは平等に接するべき」
そう頭では分かっていても、「どうしても好きになれない子」がいる。
そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
それに気づいたとき、私自身、
とても強い“自責の念”に襲われました。
「教員として失格なんじゃないか」
「子どもに失礼じゃないか」
でも今、あのときとは違う感覚でこの経験を見つめています。
これは、“指導のスキル”の話ではなく、
「自分の感情」とどう付き合うかという、
もっと根源的な問いだったのだと。
今回は、そんな気づきから始まった私自身の振り返りをお届けします。
「どんな子にも平等に接する」
「子どもを全力で受け止める」
これは、教員として当たり前のこと。
私もずっと、そうあるべきだと思ってきました。
でも、ある子どもと関わっていたとき、
どうしても心がうまく向かっていかない感覚がありました。
いわゆる「苦手意識」というものです。
正直に言えば、「好きになれない」と感じていたのです。
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その子は、よく家庭で学校の出来事を話す子でした。
そして、親御さんがすぐに学校に連絡をくださる。
毎日のように家庭訪問をし、1日3~4時間話し続けることもありました。
一生懸命でした。
必死でした。でも、正直しんどかった。
ふと、こんな気持ちが湧いてきたのです。
「毎日、正直つらい。」
「でも、これは私の責任だから、頑張らなきゃ。」
でも口に出せるはずもなく、
私はそれを“当たり前の努力”として自分に課し続けていました。
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だけどそのことについて
最近、ふと気づいたことがあります。
あのとき私が感じていたのは、
その子どもへの苦手意識じゃなかったんです。
そのもっと奥に、別の感情があったのです。
それは——
「いいな、私もそんなふうに親に話して、受け止めてもらいたかったな」
という気持ちでした。
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私自身は子どもの頃、
親にうまく気持ちを伝えられなかった。
心配されても、素直に「助けて」と言えなかった。
だからこそ、あの子の姿がまぶしくて、
それを見ていると、
自分の“言えなかった過去”がチクチクと疼いたのです。
「この子、苦手」だと思っていたけれど、
本当は「うらやましい」と思っていたのかもしれません。
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教員として、そして母としても、
「子どもはどんな状態でも受け入れなきゃ」
「感情に左右されてはいけない」
そうやって“ちゃんとした大人”を演じることに
知らず知らず慣れていた自分がいました。
でも今は、少し違う視点で捉えています。
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「受け入れる」って、
無理をして“いい人”を演じることじゃない。
大切なのは、
自分の感情すら否定しないことだと気づいたのです。
「今、私はこの子にイラッとしてる」
「この感じ、なんだろう。」
そんなふうに感情を見つめたとき、
そこには、小さな頃の“わたし”が隠れていました。
愛せないことすら、抱きしめていい。
昔はこの言葉、意味はわかるけれど
実感をともなってはいませんでした。
でも今は、ほんの少しだけ
「ただ感じていいんだ」と思えるようになった気がします。
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苦手に感じる子がいたとしても、
それは“先生失格”ではありません。
その感情の奥には、
まだ癒えていない自分自身が眠っているだけかもしれません。
だからこそ、その感情に気づいてあげられることが、
ほんとうに子どもと出会い直す第一歩なのだと思います。
さらにそれに気づいてから、
子どもとの関わり方に変化が出てきました。
無意識に構えていたんです。
でも気づいたことで、心からその場を共に楽しめるようになったんです。
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子どもと関わる教員、親は
ときにとても個人的で、深い感情と向き合わされます。
でも、それを恥じる必要はありません。
むしろそれは、
自分という存在と、もう一度出会うチャンスなのかもしれません。
「子どもと向き合うこと」は
「自分を育て直すこと」でもある——
今、そんな風に感じています。
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■ 執筆者情報■森田恵
子どもが好きで教員を目指すが、挫折。退職を考えるも奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われるように。そんな教員時代の経験をもとに、悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。結婚を機に、渡米。10年の小学校教師の経験を活かし、渡米後は日本語の家庭教師や、現地校にて日本の文化を伝え、日本語を教えて過ごす。現在3児のママ。2度の流産経験により、食や環境、ママの状態が子どもへ与える影響などに興味を持つ。さらに、意識によってもたらされる変化を日々、体感を通して実践している。