社会全体が「お客さん化」しているという事実。

【更新日】 2019年6月5日(水) 学校の働き方改革と教師の学び方
社会全体が「お客さん化」しているという事実。

お客さん化、とはどういうことか?


1.手順の説明


以下において、「コミュニティ デザインの時代~自分たちで『まち』をつくる~」の「1.自由と安心のバランス『お客さん化』する社会」の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。

次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2.本節のまとめ


・明治以降、年貢が廃止され組頭は税金を集める必要がなくなり、個人で国に税金さえ納めれば隣人とつながる必要がなくなった。工業に従事する人が増え、農業に比べ、自宅の周りに住む人たちとの協同作業は驚くほど少なくなる。

・住民はどんどん「お客さん化」する。
→道路の補修も、掃除も、住民が電話すれば行政がすぐに対応。
→「すぐやる課」が誕生(住民から電話があったらすぐに対応するという課)したことがあったが、「すぐやるべきかどうか」をしっかり考えないと、住民は
ますます「お客さん化」する。
→主体的にまちへと関わる人たちの意識を取り戻さねばならない。

3.疑問に思ったこと


「行政はすぐに対応する。住民はどんどん『お客さん化』するわけだ。」

この文を重要ポイントとし、下記に疑問を示します。

「「お客さん化」されているという現実、それは学校でも見受けられる。ではその状況をどうやって打破していけばいいのだろうか。」

4.学びをどう生かすか


「お客さん化」は教師も感じていることだと思います。
それは保護者に対して。
そして新任教師に対して。

私も実際に、初任で勤務したときは、完全に「お客さん」でした。
その意識すらなかったのです。
恥ずかしいことですが、教師としての自覚といったものが全くなく、大学からきて社会人としての立場というものを、全く理解していなかったと言っても過言ではありません。

それは例えば、「きっと誰かがやってくれるだろう」といった甘えや、「自分が動かなくても、誰かが知らせてくれる」といったことが根本にありました。

つまり当事者意識が全くなかったといえます。
常に他人事。
自分は悪くない。何か問題が起きればそれは、子どものせいだったり、保護者のせい。
常に誰かのせいにして生きていました。

だから当然ですが、子ども達もなつくことなく、授業もうまくいかず、常に問題が勃発。。。

その原因が自分の中にあった「お客さん」意識だったのです。
そんな先生がたくさんいたら…子どもは大迷惑ですよね…。

でも現実は私と同じような人が少なくありません。
教師に限らず、です。

ではどうしたらいいのでしょうか?
まずは自覚することです。
本人の自覚なしにはそこから進むことはできません。まずは自分から。
他人を自覚させるのはとても難しいことですから。

ちょっと考えてみてください。
文句1つとっても「あれ?私、お客さん化してない?」と思うことがあるかもしれません。
私自身、もうそういった意識はもうないと思いきや、この前、1ヶ月もたっていない新築のお風呂場で蟻が大量発生したとき、すぐに業者を呼ぼうと電話しようとしていました。

でもアメリカで当然、そんなことは自分でまずはどうにかするのが常識です。
その原因を考え、どこからきているのか、できうるかぎりのことを考え実行します。そしてご近所さんにも相談し、事なきをえて、無事に問題は解決できました。

できるんです。わざわざ業者を呼ばなくても、自分たちでどうにでも。

でも自分1人では限界がある。
だから地域の人を頼って、様々な案をもらう。時には手助けしてもらう。
そういった環境を作っていかないといけないんだと思います。

そうやってつながりを作っていくことが、自分のためにもなるんです。
まずは自覚をする。そして自らつながりを持って行く。

時には面倒臭がられることもあるでしょう。
つながりたくない人もいるでしょう。
でも本来、つながって生きてきた民族です。
つながりを大事にしていきた日本人の血が流れています。

自分たちのこと、そしてこれから生きていく未来の子ども達のことを考えたら、つながりを求めてつながっていく努力は必要なときにきているのではないでしょうか。

「お客さん化」している状態は、海外からみたら、ちょっと恥ずかしい状態です。だって自分でやろうとせず、常に誰かにお願いしようとする行為です。
子どもなの?と思われてしまう。

やってもらって当然。そういった意識が日本人の根底にあるのは確かです。
それはそういった状態を作ってきてしまった国や、行政などの責任にしてしまえば簡単です。

でもそのままでいいのでしょうか。

まだまだ海外では日本という国は尊敬されている部分もありますが、そういった「お客さん化」している部分は受け入れられない面もあります。
というより相手にされないと言った方が適切かもしれません。
いい大人が子ども?と思われてしまいます。

そしてそんな大人と接している子ども達が確実に「お客さん化」していくことは間違いありません。
海外の子は自立しているとはよく言いますが、それは親や身近な大人がちゃんと自立しているからなのではないでしょうか。

また、お客さんであると、なかなか感謝の気持ちがうまれません。そこにはお客さんである自分は上の立場である、という意識があるからです。
「やってもらって当然」という部分が見えてしまうのです。
感謝のないところにつながりは生まれません。

あなたは「お客さん化」していませんか?

5.まとめ


「お客さん化」という言葉が「つながり」と関係していることに驚きました。

でもよく考えれば、その通りなんだと納得したのです。つながりとは、相互の関係なしには成り立たない。その片方がお客さんだという意識を持ったままでは、いつまでたってもつながることはできません。

そこには上下関係が成立してしまうからです。「やってくれて当然」という意識がある以上、そこに感謝は生まれにくい。
感謝がないということは、つながれている状態とはいえないのです。

自覚し、つながりを意識し、相手を尊重する。
そんな当たり前でも難しいことを、今、ちゃんとしていかないといけない時にきているのだと教えてもらえました。


■ 執筆者情報
森田 恵 【元小学校教師】
子どもが好きで、彼らをより笑顔にしたいという思いを抱き、教員を目指す。しかし、挫折。あまりにも上手くいかないことばかりで退職を考えるも、奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われる日々を送るようになる。そんな小学校教員時代の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。現在は海外に移住し、子ども達に日本語を教え、日本の文化を伝える活動を行っている。また現地校で日本の教育との違いを学び、それを日本の教育に活かす方法や感じたことを日々発信している。