『継続』も才能のうち?

【更新日】 2018年12月4日(火) 学校の働き方改革と教師の学び方
『継続』も才能のうち?

『やり抜く力』も才能のうちなの?それとも努力でどうにかなるの?


1.手順の説明


以下において、「GRIT~やり抜く力」の「やり抜く力はこうして測る」の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。

次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2.本節のまとめ


・どれくらいの「やり抜く力」をもって、人生に取り組んでいるかがわかる「グリッド・スケール」(=グリッド・スコア、「やり抜く力」の強さを示す数値)を作成。

<グリッド・スコア>
➀取材した人の話に出てきた言葉を用いて、「やり抜く力」が強さの特徴がわかるコメントを「粘り強さ」、「情熱」を半分ずつで作成。それにどの程度賛成するかをたずねる。
②グリッド・スコアは、優秀な士官候補生でも「やり抜く力」が強いとは限らず、逆もまたしかり。

・ふつうに考えれば、才能のある者が努力をすれば素晴らしい結果を出せるのだから、あきらめずにがんばろうとするはず。だが、才能があっても、やり抜く力が強いとは限らない。
重要なのは、「やり抜く力」。

・「営業職」でもグリッド・スコアの高かった人は辞めずに残り、低かった人は辞めていた。「外交性」「情緒の安定」「誠実性」など、性格テストで調査したほかの特徴は、いずれも「やり抜く力」ほど的確な判断材料にはならなかった。

3.疑問に思ったこと


「取材した人の話のなかに出てきた言葉を、ときには一言一句そのまま用いて、『やり抜く力』が強いとはどういうことか、その特徴がわかるコメントを作成した。」
「こうして完成したのが「やり抜く力」の測定テスト、「グリッド・スケール」だ。このテストに率直に回答すれば、その人がどれくらいの「やり抜く力」をもって、人生に取り組んでいるかがわかる。」
「ふつうに考えれば、才能のある者が努力をすれば素晴らしい結果を出せるのだから、あきらめずにがんばろうとするはずだ。」

これらの文を重要ポイントして、ピックアップしました。
これをふまえ、下記に疑問を示します。

「“努力に勝る天才なし”ということわざがあるように、この『やり抜く力』も才能の一つと言えるのではないでしょうか。」

4.学びをどう生かすか


天才は1%のひらめきと99%の努力である
(トーマス・エジソン)

この言葉は有名です。
ということは、『やり抜く力』もまた、努力することができるという才能の一つなのではないでしょうか。

『Journal of Neuroscience』という雑誌に、アメリカ・テネシー州・Vanderbilt University “マイケル・トレッドウエイ”が率いる研究チームの研究論文が掲載されました。
そこの論文には、『継続』することができるかどうかというのは、『脳』の違いによるものなのだという事が書かれています。

脳のある領域では、得をするか損をするかということを考えているそうです。
今行っていることが、犠牲にしているもの(例えば、退屈な作業の継続など)に見合うのかどうかを常に計算しています。
それが『努力』に見合わないと判断すると、維持・継続することが難しくなっていくというのです。

さらに島皮質という場所では、ドーパミン活性(快楽)と、継続しようとする意欲の間には、逆の相関関係が存在するといいます。
ドーパミンが活性されるほど、継続の苦しみをより感じやすくなり、継続することをやめてしまうといいます。

つまり、『努力を継続出来る人』(=やり抜く力)のある人は他の人よりも少し、どんな報酬が得られるか分からなくても、ドーパミン活性(快楽)を得ることができるのです。

また、自分のなかの不満の声をかき消すことが出来ます。
また別の言い方をすると、「継続することの苦しみに鈍感でいられる」という脳の働きをしているのではないかと考えることが出来ます。

やり抜く力のある人は、継続することに対して苦痛ではなく、何らかの楽しみを見つけ出し、ドーパミンをうまく出し続けるのがうまいともいえるようです。

上記のことをふまえ、普段の生活を振り返ってみます。
例えばやらねばならない仕事や試験勉強があってた時、ついついテレビをみてしまったり、ネットサーフィンをしてしまったり、なぜか急に片づけを始めたり…という経験が私にはあります。

それは脳内の中の不満(継続することよりも、もっと身軽で楽しいことをしたいという声)に従ってしまい、そちらに流れてしまった結果と言えます。
しかし、この状態は自分の望む状態ではありません。

やはり私は、「やり抜く力」を身につけたいのです。
だからこそ、次からは継続する場面において、別の行動(目の前の快楽に惑わされず、努力を継続すること)を試みていこうと思います。

また、実際にこの「グリッド・スケール」に回答してみました。
結果は「成人したアメリカ人の50%よりも『やり抜く力』が強い」という結果でした。

回答していくにあたり、過去に自分が困難にどう対応していったのか、どういうパターンをもっていたのかが判断基準になっています。

回答した結果をみて、自分の「やり抜く力」を知ることが出来る、という事以上に、その結果を得て、自分はどのようにこれから行動していこうか…など考えたり気付きを得るのにとても有効なものだと感じました。

私自身、『やり抜く力』とは、普段の生活にあまりにも密着していて、それが『やり抜く力』だと認識すらしていない状態でした。
そんな方は多いと思います。

仮に教師や親であれば、子ども達に身につけさせたい力の一つが、『やり抜く力』だと言えます。
途中でなげだしてしまう子、集中力のない子に手を焼いている方もいるのではないでしょうか。

ではその「やり抜く力」。
それをどうやって身につけていけばいいのか。それはこの先、記事にしていきます。

脳の仕組みと、それぞれ人には行動のパターンがあるということ。
そんなことを子ども達に話し、子ども達が自分自身を知っていく事も大事なことだと思います。

5.まとめ


継続、忍耐…という言葉、つまり『やり抜く力』は自分にはあると勘違いしていました。

しかし、実際に「グリッド・スケール」でテストすると、成人の半分程度の力しかなかったのです。
そしてまた、この『やり抜く力』は才能というよりも、今までの自分の行動のパターンの1つだったのです。
つまり、自分の意識で変えていくことが出来るのです。
子どもたちに対して、「なぜこの子は、継続ができないのか」と悩む前に、どうしたら『やり抜く力』が身につくのか、それを考えて、力をつける手助けをすることも、周りの大人の役割であるのではないでしょうか。


■ 執筆者情報
meg【元小学校教師】
子どもが好きで、彼らをより笑顔にしたいという思いを抱き、教員を目指す。しかし、挫折。あまりにも上手くいかないことばかりで退職を考えるも、奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われる日々を送るようになる。そんな小学校教員時代の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。現在は海外に移住し、子ども達に日本語を教え、日本の文化を伝える活動を行っている。また現地校で日本の教育との違いを学び、それを日本の教育に活かす方法や感じたことを日々発信している。

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