才能は重要じゃない!それよりも…

才能は重要じゃない!それよりも…

才能よりも重要なのは、努力?忍耐?


1.手順の説明


以下において「GRIT~やり抜く力」の「はじめに-『生まれつきの才能』は重要ではなかった!」の要約を行い、それについて批評します。

まず順を追って要約し、必要ならば補足します。
次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2.本節のまとめ


・長い目で見れば才能よりも重要なのは、やり抜く力。(科学的根拠がある。)
・やり抜く力は固定せず変化し、やり抜く力を育むための方法も分かってきている。(科学的知見により。)

3.疑問に思ったこと


・「お父さん、長い目で見れば才能よりも重要なのは、グリット(やり抜く力)なのよ」

・「やり抜く力」は固定したものではななく、変化することもわかっている。科学の知見によって、「やり抜く力」を育むための方法も分かってきているのだ。

これらの文を重要ポイントとしてピックアップし、下記に疑問を示します。
「やり抜く力、つまり努力や忍耐、継続力といったものが、才能よりも重要だと著者は述べています。
とはいっても、世間一般では、まだまだ“才能”という言葉を信じて疑わない人が多いのではないでしょうか?」

4.学びをどう生かすか


『ビリギャル』を指導した塾講師の坪田氏は、才能について、下記のように述べています。
「与えられた教育に疑いを持たず、真面目に言われた通りにしてきた人に、『能力の高い』人はいるが、『尖った才能のある人』は少ない。」

「『自分の能力が発揮できない』と悩む人は、親や教師、上司の言うことを聞きすぎている。
今すぐ聞くのをやめて、自分に合うやり方を探そう。」

(『才能の正体』 坪田 信貴 著)

坪田氏は「才能は誰にでもある」と断言します。
またこのようにも書かれています。

人の才能について人が評価する時、結果から判断しているにすぎない、と。
親や教師からの決めつけが子ども達の能力をつぶしている、と。

もちろん、幼い頃は自分の判断で大人の声を聞き分けることは出来ません。
ですから、坪田氏のこの言葉は大学生など、判断ができる年齢に当てたメッセージだともいえます。
だからこそ、親や教師といった幼い子ども、まだ判断のつかない子ども達と接する立場である人は、一人ひとりの子どもに対しての接し方や声掛けを充分過ぎるほどに気を付けないといけないのです。

でもこれは言動に気をつけるというよりも、大人たちの根底の考え方が問われているといってもいいのではないでしょうか。

もし、私が現役の教師の時にこのことに気づいていたら、もっと多くの子ども達と違った関わり方が出来ていたのではないかと思います。
子ども達を才能のあるなしで判断していたことはありません。
しかし、その過程を「もっと」見ようと意識を向けることは出来たのです。

現在、多くの若者たちが、「何をしたらいいのか分からない」「自分の能力が発揮できない」と感じています。
その根本は大人たちの固定観念、世間の声が原因の一つともいえるのではないでしょうか。

大人たちが自分の根本の見方や考えを一度疑ってみるということ。
もしそれによって、子ども達が大きく変化するならば、1つの方法として試してみる価値はあります。

また、才能がある人ならではの悩みもあるようです。
体調が悪くても周囲を満足させる結果を求められたり、期待に応えるために努力し続けなければならなかった。
(東京新聞  第九回野性時代フロンティア文学受賞作家/岩井圭也氏)

「才能があることは幸せか」という問いを『永遠についての証明』という本の主題として書かれています。
これは世間の声が才能優位であり、その世間によって苦しめられているという例ではないでしょうか。

努力や継続といった、自身でどうにかなる問題とは別のところで、この「GRIT」の著者が『才能』という言葉に苦んだように、同じように悩んでいた方です。『才能』という言葉と自身のやりたいこととの葛藤で苦しんでいたのかもしれません。

多くの大人たちが、才能について今までと違う認識を持った時、「才能がない」と苦しんだり、才能に期待されて苦しむ子ども達が少なくなってくるのではないでしょうか。

まずは「才能」「能力」について一度、自分なりの定義を考えてみてはいかかでしょうか。
そして、私もまだまだ著者の言う「『才能』よりも『やり抜く力』が重要」だと思えていない部分があるのは正直なとろこです。
なぜ『やり抜く力』が必要なのか。
その問いをもっと深く考えていきたいと思っています。

5.まとめ


私自身は、才能なんてないと思って生きてきました。
幼い頃に植え付けられた自分自身のイメージを覆すのは意外と大変です。

しかしそれを考えると、教師や親といった立場の人の接し方、言動次第で子ども達の「才能」や「能力」と言った固定観念はどうにでも変わっていくのです。

子ども達に対して「評価」という結果ではなく、その過程を認めて褒めてあげる。
その些細なことの積み重ねが、子ども達一人ひとりの将来を左右していくと言えます。


■ 執筆者情報
meg【元小学校教師】
子どもが好きで、彼らをより笑顔にしたいという思いを抱き、教員を目指す。しかし、挫折。あまりにも上手くいかないことばかりで退職を考えるも、奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われる日々を送るようになる。そんな小学校教員時代の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。現在は海外に移住し、子ども達に日本語を教え、日本の文化を伝える活動を行っている。また現地校で日本の教育との違いを学び、それを日本の教育に活かす方法や感じたことを日々発信している。