『ソース』
~ヤル気のウソ~の学びを生かす
1. 手順の説明
以下において、「ソース 第4章~やる気のウソ」の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。
次に、重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評します。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に、全体を要約して結論づけ、まとめます。
2.本章のまとめ
・ヤル気は自然に心の中から生まれるものであり、やる気を起こすのは不可能。やる気は錯覚。しかし社会はやる気を出させるために多くの時間とお金を使うが、効果もなく長続きしない。
・多くの人が仕事にやる気を持てず、能力を出し切っていないのは他の人が期待することをしているから。子ども達が学校をつまらないと感じ、宿題をしたがらないのは、子供の生来の性質とは反対のことを要求されているから。
・心を燃え立たせるものを無視した人生は、喜びも進歩もないつまらない人生になる。無理やりやる気を起こすのはやめて、代わりに大好きなことを始める。
<創造性が生む奇跡的な力>
・体の中に自然にあふれてくる創造性には奇跡的な力が備わり、不思議な力がある。
・自分の中に隠れていた創造的な衝動(ワクワク)を解き放った結果、心が解放され自由になり、心と体が一つに統合され、自分自身も自由になり、仕事も人間関係も目に見えるように向上する。
3.疑問に思っていること
「ヤル気を起こすのは不可能です。ヤル気は錯覚にすぎません。」
この文を重要ポイントとしてピックアップします。
これらをふまえ、下記に疑問を示します。
「本書で書かれている“ヤル気を起こすのは不可能”というのは世間で言われている言葉とは真逆である。
世間では“やる気を起こさせるためにはどうしたらいいのか”という提案が多く見られる。
では本書のいうように“やる気を起こすことは不可能”なのだろうか。」
4.学びをどういかすか
前述と重複しますが、やる気のない時に無理やり「やる気をどう起こさせればいいのか」という提案が多く、著者のいう創造的な衝動(ワクワク)についてはほとんど触れられていません。
それほどに人々の中にはまだ受け入れられない、というよりもワクワクすることは「どうせ無理」と諦めている人、「やっても意味がない」「無駄なこと」と人生において無意味だと思っている人が多く、需要がないからだとも言えます。
また、「やる気スイッチ」と呼ばれるものが流行っていた時をご存知でしょうか。
このやる気スイッチは世間の常識そのものだと思います。
「ヤル気は引き起こせる」と「錯覚」されている状態だと言えます。
「行動するには、やる気が必要」という考えは脳科学的にはナンセンス。
まずは行動すると結果的にやる気や意欲を刺激する可能性が高まる。
脳科学では、私たちが「心」や「気持ち」と思っているモノの大半を、外部からの刺激に対する「脳の反応」と捉える。
自発的に見える意思も、外の出来事に呼応して浮かんだものと考える。だから、まずは行動が大事。 (読売新聞社から池谷裕二氏”東京大学薬学部教授”より コメント抜粋)
と書かれています。
池谷氏は「行動が大事」であり、行動するから「やる気」が伴うと述べています。
つまり脳科学的に見て、「やる気」は起こすものではなく、行動をすることで引き起こされるものと解釈できます。
子どもの頃や、実際に好きなことをして生きている友人を見ると、著者が言われている「ヤル気を起こすのは不可能」という言葉が当てはまると頭では理解できます。
そうはいっても…実体験を伴わない限り、またはそれが世間の常識にならない限り、私を含め、多くの人は信じることが難しいのが実際のところなのではないでしょうか。
ぜひご自身で試してみて、「ヤル気を起こすのは不可能」であるという感覚をつかんでみてください。
実際に自分自身で試し、感じて実証するして納得するしか方法はないと思います。
著者が述べているように、私自身も「ヤル気」という「錯覚」に陥っているのかもしれません。
5.まとめ
とても興味深い内容でした。
私自身も、世間の常識にどっぷりはまっているのかもしれません。
もしはまっているとしたら、それはそこから出るまで気づかないのです。
だからこそ、自分自身で体験し試して実証してみたいと思います。
そうしないと、いつまでもヤル気のでないことに無駄な力を使い、無理やり「やる気」を起こしているというのは、何とも不自然で不必要な労力として思えないからです。
これを学校生活で生かすとするとします。
「ヤル気を起こすのは不可能」であれば、個々に対応したカリキュラムが絶対的に必要になります。
そうしない限り、学校現場で子ども達全て一人残らず「ヤル気」が自然と沸き起こる状態にすることは不可能だという結論に至ります。
残念ながら制度はすぐには変わることはありません。
教師にできることは、出来る限りこどもたちの興味がわくような、ワクワクするようなやり方で授業を進めたり、学校生活を送らせるという方法をとっていくことが、唯一、子ども達がやる気を保てる方法なのではないでしょうか。
■ 執筆者情報
meg【元小学校教師】
小学校教員の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。