「熱中するもの」を見つけるための環境作り

「熱中するもの」を見つけるための環境作り

『ソース』
~あなたのワクワクに宿る軌跡の力~の学びを生かす


1. 手順の説明


以下において、『ソース』の「第1章 あなたのワクワクに宿る軌跡の力」の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。

次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2.本章のまとめ


・それぞれの生徒が一番ワクワクすること、熱中するものを中心に個人のカリキュラムを組むと、生徒の心の奥に秘められていた目的意識とやる気の源泉、膨大な才能や能力、意欲が見つかる。

・心から夢中になれるワクワクには奇跡を生む力があり、存在意義と満足感、そして自信もつく。

・現代社会のゆがんだ教育観(個人の興味や好奇心を全く無視して、一律の教科を上から押し付ける学習法で、社会で生産的活動を意欲的におこなう、幸せな人間を育成できるという誤った見方)が子ども達に反映されている。

3.疑問に思ったこと


「通常の教育では開花しえない、膨大な才能や能力、意欲が誰にでも存在することを示してくれた」
「現在の教育制度が見逃しているこうした潜在的な能力を発見するカギは、生徒が熱中するものをみつけることにあります。」
これらの文を重要ポイントとして、ピックアップしました。

これをふまえ、下記に私が疑問に思ったことを示します。
「これがどの学校でも実践することができたら、まさに理想だ。
またはワクワクすることに意識を向けている家庭でなら、実践可能だろう。
しかし、現在はまだ学校制度がそこまで整っていない。また人材も不足している。
著者の主張が良いことと分かっていたとしたら、それを今、私たちはどのように実践していけるのだろうか。」

4.学びをどう生かすか


まずはじめに、日本の学校では著者のような教育を受けさせるのはハードルが高いと思われます。
私立なら実践しているところもあるだろうし、仮になくても独自の教育方針でカリキュラムを組むことは可能です。
しかし公立の学校では人材も不足している上、法的にもまだ整備されていません。
という事は、今は各家庭で取り組むことを考えるのが現実的です。

日本では、文部科学省が2005年に、不登校の子供でもIT等を活用した自宅学習を行っていれば出席扱いにできるという通知を出し、実際に利用している人もいるようです。

また2017年には「教育機会確保法」という不登校の子どもへの支援の必要性を掲げた法も施行されています。
義務教育を学校以外で行うことは認めれていないので、籍は学校に置いておくことが前提です。

しかし実際は日本では海外ほど認知されておらず、何よりも「ホームスクール」といっても「不登校じゃないか」というマイナスなイメージがつきまとっています。

アメリカでは私の友人もホームスクールを選択し、その子供たちはとても生き生きと学ぶことを楽しみ、充実した毎日を送っています。
始めは私も先入観を持っており、「不登校ではないのか?」「それでいいの?」とネガティブなイメージがありましたが、全くそんなことはなかったのです。

日本で「ホームスクーリング」を経験している人は、まだまだ体制が整っていないので海外に比べると大変だと聞きます。
例えば、学校や公的な機関のサポートやホームスクールを受けるカリキュラムがほとんどなく、何よりも日本では「世間の目」が厳しいのです。

ホームスクーリングを受けている子が少ないので、子どもが社会とコミュニケーションを取る場が少ないことも問題です。
つまり学校に行かなくなり、子どもが孤立しやすくなる可能性もあるようです。

そして大きな問題として、経済格差があげられます。
収入の多い家庭であれば、親が家で子どもをみたり、学校以外の場や特別なカリキュラムの学校へ通わせることも可能です。
しかし収入が少ないと親は稼ぐために働かなくてはならず、家で教えることもできないので、選択肢は公立の学校以外にありません。
そのように経済格差により、収入の多い家庭では子どものやりたいことができ、学びたいことも学びたいように学べる環境を作ることが出来ます。
しかし収入が少ないとその選択肢すらないのです。

今、子どもたちにできることは、学校の教師であれば、可能な時間を使って子ども達のワクワクすることを引き出し、それを実践させるカリキュラムを立て、実践していくことです。

しかし時間が限られている上、クラスの一人一人に目を向けていくのは中々容易なことではありません。
親であれば、出来ることとして、学校に通うことを前提とするならば、休みの日や学校が終わってから、子どものワクワクを引き出す時間を取り、それをより伸ばすためのものを提供することが出来ると考えられます。

日本中の一人でも多くの子どもたちが、ワクワクを失うことなく、人生を生きていくことが出来る環境を、私たち大人が考えていかなくてはなりません。

5.まとめ


時代がものすごい勢いで変化しています。
おそらく2020年の教育改革を境に、今の教育観や教育制度もどんどん変化していくでしょう。

今までは私自身も含め、「ワクワクすること」に重点をおくなんて考えられませんでした。皆が同じ教育を受け、皆で足並みをそろえることを良しとされてきた時代です。

そこから今、大きく変化しています。
今の子ども達の将来は、今の大人にかかっているのです。
どのように接するのか、どのような教育を受けさせるのか、どんな経験をさせるのか。
また、一概に学校教育が悪いとは言えません。
なぜなら、学校の中では自分の知らなかった分野を学べたり、人とのつながりを作る機会を与えられていたりするからです。

この時代の流れはどうすることもできません。
AIに生かされるのか、それとも自分らしい生き方をしていくのか。
子どもたちの為にも、自分たち自身のためにも、「ワクワク」について考えてみてください。


■ 執筆者情報
meg【元小学校教師】
小学校教員の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。