主観と客観を一致させる
前回の「自分を知ること」に加え、「他人から見える自分」といったことも信頼に深く関係していきます。
それは他人の目を気にするということではなく、他人から見える自分を分析してみるという視点になります。
例えば、「主観と客観の一致」といった言葉がありますが、他人から見た自分というのは、ほぼ同じということは少なく、「そんな風に思われていたのか…」とショックを受ける事もあります。
主観とは、自分が見えている自分。
客観とは、他人から見える自分。
なぜ主観の客観を一致させることが良いのかというと、もし不一致だとチグハグ感が半端ないんですね。
つまり生きにくいんです…。
自分のことをわかってくれない!
相手のことが何も分からない!
なぜかいつも対立ばかり起こしてしまう…。
そういったことが頻発している時は、やはり自分のこと、そして相手のことが分かっていないということが原因のことが多いのです。
つまり、自分が自分を知らない、相手が自分のことを知らない状態というのは、「信頼と程遠い場所」ということになります。
では、どうやって主観と客観を一致させていけば良いのでしょうか?
ひとつ、この話をしたいと思います。
ジョハリの窓という言葉を聞いたことがありますか?
上記のように、「自分は知っていて、他人も知っている自分」つまりこの図でいう解放の窓に当たるところというのが理想であるといわれています。
ですが実際は、自分のことすらも、よく知らない人が多いのが現状です。
実際に私もそうでした。
自分のことがわかっているつもり。
知っているつもり。
他人から、「あなたはこんなところがあるよね。」と指摘されると、「違う!私はそんなことはない!」とせっかく言ってくれた相手にかみつくこともありました笑
でも、それは、もちろん相手が否定しに来ている場合もありますが…大体の人がより、私が良くなってほしくてアドバイスをくれることも多いのです。
それをすべて真に受けた方がよいということではありません。
自分には気づいていない、知らない自分がいるということを知ってほしいのです。
そして自分も他人も知っている自分がいると、本当に生きやすくなります。
秘密がない状態になります。
それは隠し事がない状態であり、それは堂々としていられる状態なのです。
つまり自分が自分で常にいられるのです。
考えただけでも楽だと思いませんか?
無駄な力を入れる必要がなくなります。
その分、自分が必要だと思うところに集中して力と時間をかけることができるのです。
そして、主観と客観を一致させていくには、自分のことを伝えていく、表現していくのが早いと言えます。
それは自分からだけでなく、自分と近しい人から伝えていくことも同様かもしれません。
会話の中で、発信で、発言で。
そして、自分のことを伝えていくことと並行して、他人からの意見も一つの意見として聞いてみる。
そしてそれが必要であれば、受け入れていく。
そう言ったことを繰り返すと、ジョハリの窓の開放の部分がだんだんと開いていき、信頼も生まれやすい状態へと変化していきます。
信頼を作るには、まずは自分の土台を作るところからです。
自分のことを伝え、相手のことも受け入れる態勢を作っていきます。
特に子ども相手であれば、大人相手よりも簡単に、ジョハリの窓を開放していけるのではないでしょうか。
しかも担任であれば、長い時間を過ごすことができます。
自分の心を開き、相手を受け入れる。
それを意識してみるだけでも、信頼への一歩といえるのだと思います。
■ 執筆者情報 森田恵
子どもが好きで、彼らをより笑顔にしたいという思いを抱き、教員を目指す。しかし、挫折。退職を考えるも奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われるように。そんな教員時代の経験をもとに、悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。現在は海外に移住。日本の教育との違いを学び、それを日本の教育に活かす方法や感じたことを日々発信している。