あなた自身の「声」を聞けば、自然と信頼が築ける?

【更新日】 2024年1月20日(土) コミュニケション・外国語運用能

あなたの「声」を無視していないですか…?


率直に聞きたいのです。
子ども達の前に立つ立場であるあなたに対して、

「あなたはちゃんと自分の声を聞いてあげていますか?」

と問いたいのです。
どういうこと?と思った方も多いかと思います。
自分の声は普段から聞いてる、という答えががえってきそうです。

でも、、、
本当に聞こうとして耳を傾けているでしょうか…?

子ども達と、信頼関係を結びたい。
子ども達のために、精一杯全力で向き合いたい。
子ども達、保護者、同僚のために自分のできることをしていきたい。

その意思は素晴らしいですし、教師として、子どもたちと接する者として、その思いはとても大事なものと言えると思います。

ここで言いたのは、
その想いの下で、
自分に無理をさせていないか?と問いたいのです。
自己犠牲の上で、やっていないか?と問いたいのです。

「ああ、今日はちょっとだるいな。でも、休むなんでできない。」
そんな日は誰しもあると思うし、そんな時があって当たり前です。

でも実際に教員が休むなんて…と思っていないでしょうか?

でも、あなたも人間です。
休めなくとも、正直に目のまえの子ども達やせめて同僚、または家族に
「ちょっとだるいから、休みたいんだよね。」と一言、
もしそれが現実的には無理だとしても、声に出して伝えているでしょうか?

もし、誰かにそれを伝えるのが無理であれば、
せめて自分で「ちょっとだるいな。やすみたいな。」と言ってあげる。
認めてあげる。
そこで大体の人が否定をしてしまいがちです。

「そんなこと言ってる暇があるなら、さっさと仕事を片付けなきゃ。」
「みんなだって頑張ってるのに、仕事が遅い自分がそんなことを言ってられない。」
「こんなこと思ってるから、学級経営がうまくいかないんだ。」

そんな風に、自分の言葉を言ったそばから「ダメ出し」してしまっていませんか?

そこなんです。
ただ、疲れている自分、今日はいきたくないなと思った自分、
元気が出ないなと感じている自分。

そんな自分の感情や気持ちを無視して、
無理して頑張れ!と自分にパワハラしてませんか?

そう問いたいのです。

なぜ私がそう思うかというと、私自身がそうだったからです。
そんなことを思うことすら、自分に許可をしていませんでした。
なので、自分が一番自分の首を絞めていたのです。

疲れていても、
眠くても、
おなかが痛くても、
めまいがしても、
吐き気がしても、

それを誰にも言えなかったんです。
そして自分にすら、それを言うことを許可してあげていなかったんです。

そうなるとどうなると思いますか?
身体の感覚が麻痺していきます。

どんなことでも、耐えられるし、努力と気力で何とかなると勘違いします。
そうです。
それは「耐えられるようになった自分」になったわけはないのです。
「自分に無理をさせている」だけなのです。

つまり…
自分で自分のことが何も分からなくなってしまうのです。

そして感覚が麻痺してくると、そのうち心が病んできます。
精神的にきつくなってきます。

そんなところまで行く人はなかなかいないかもしれませんが、
私が見る限り、日本で働いている多くの人は
そうやって自分の声を無視して、
自分で自分を苦しめている人がまだまだ多いように感じます。

それがなぜ信頼と関係するのか、というと、
自分の声を無視してる人間が、
他人、例えば目のまえの子ども達の声を聞くことが果たしてできるのでしょうか?

もちろん、聞くことはできると思います。

でも、自分の声を無視している状態で、
子ども達の本音の声を聞くことは無理なのではないでしょうか?

表面的な部分でいえば、可能だと思います。
でも、もっと子ども達が本当に伝えたい部分、聞いてほしい言葉を受け止めることができないのではないかと私は思うのです。

なぜなら、一番近くにいる自分の声すら聞いてあげていないからです。

声といっても、そんなに難しい事ではありません。
「ちょっと座りたいな。」
「トイレに行きたいな。」
「今日は食欲がないから、給食は食べたくないな。いつもは子ども達に少しでも食べるように促してるけど…。」
「飲み会行くくらいなら、今日は帰って子どもと遊びたいな。」
など、日ごろの些細な声を受け取ってあげるだけでいいのです。

まずは受け取ってあげる。
「そうだよね、そうしたいよね。」とただただ受け入れてあげる。

もしそれが出来なくてもいいんです。
まずは聞いてあげればいい。

それができるだけで、
自分が満たされます。

「自分が自分のことをわかってくれた。」と思えるようになるのです。
すると、そのうち、子ども達から、
「先生は自分のことをわかってくれる」と言ってくれるようになります。

少しずつ。できることをしていけばいいのです。

あなたが自分の声を当たり前に聞いてあげるようになった時、
周りとの信頼関係が変化してくるはずです。

休むことが悪い事ではないし、
休まないことが良い事ではありません。

あなたの声を聞いてあげてください。
それがまず、はじめの一歩なのではないでしょうか。

■ 執筆者情報■森田恵
子どもが好きで教員を目指すが、挫折。退職を考えるも奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われるように。そんな教員時代の経験をもとに、悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。結婚を機に、渡米。10年の小学校教師の経験を活かし、渡米後は日本語の家庭教師や、現地校にて日本の文化を伝え、日本語を教えて過ごす。現在3児のママ。2度の流産経験により、食や環境、ママの状態が子どもへ与える影響などに興味を持つ。さらに、意識によってもたらされる変化を日々、体感を通して実践している。
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