こんにちは、叶めぐみと申します。
発達障害の子供たちを育てた経験をもとに
こちらのブログを書かせて頂いております。
35人の学級なら3人はいると言われている発達障害の子供たち。
支援級の先生はもちろん、通常級の先生方にとっても気になる存在だと思います。
その子供たちの背景や保護者から見えるものなど、
実体験をもとに当時を振り返りながら書かせていただきます。
子どもたちと日々関わっておられる先生方や保護者の方などへ発達障害についての理解が広がるきっかけになると幸いです。
前回のブログでは、発達検査で発達障害の診断を受けることのメリット、デメリット、更に「先生から発達検査を薦められる時にあるとありがたい配慮」について書かせていただきました。
前回のブログはこちら
今回は、その発達検査の大まかな種類や実際に発達検査を受けるにあたっての保護者としての注意事項や心構え、更にその検査結果をお子さんに活かすためのはじめの一歩について書いてみたいと思います。
内容上、専門的な用語も出てきますが、「ざっくりとこういう検査をするんだな」、「親御さんはこんな風に受け取るんだな」という状況の理解につなげて頂けると幸いです。
我が家でも受けたことがある「新版K式発達検査」と「WISC」という2種類の検査について書いてみます。
◆検査スタイル:
保護者やお子さんと関わっている人が、チェック項目に回答する形式で行われます。
◆対象年齢:
生後100日~成人
◆内容:
【実年齢に比べてどの程度まで成長しているか?】を調べるための検査です。
「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3領域について、発達年齢や発達指数を算出します。発達指数とは、実年齢に対する発達年齢の割合を表します。具体的には次のような計算式で求められます。
発達指数(DQ) = (発達年齢 ÷ 実年齢)× 100
◆検査項目:
(1)姿勢・運動: 身体の動きや運動能力、バランス感覚などについての成長度合い
(2)認知・適応: 知的な理解力や問題解決能力、環境への適応力などの成長度合い
(3)言語・社会: 言語能力、コミュニケーションスキル、社会的な関わり方の成長度合い
◆検査スタイル:
検査者が子どもと1対1で進める形式で行われます。
◆対象年齢:
5歳~16歳11ヶ月
◆内容:
【子どもの知能】を測定するための検査です。
知能指数(IQ)を測定し、言語理解や視覚・空間認知、作業記憶、処理速度などを測定します。
各項目を合わせた全体の平均を取ることで以下の知的障害の分類結果が出ます。
71~85:境界知能(ボーダー)
50~70:軽度知的障害
35~50:中度知的障害
20~35:重度知的障害
◆検査項目:
この検査は保護者や子どもと関わる機会が多い人がチェック項目に回答する形式で行われます。チェック項目に回答する人が子供のことを普段から見ているか、知っているかが検査の評価の精度に影響します。
また、あまり悪い評価になってほしくないという保護者の気持ちが入りすぎると、良い結果になるような回答をしてしまうこともありえます。
検査項目の種類を見て頂いてわかるようにかなりの量の検査になり、受けるお子さんに長時間の集中が求められます。そのため、集中力が続きにくいお子さんにとっては、正確な能力を発揮することが難しくなることがあります。特に処理速度や作業記憶を測る項目では、注意力が低下すると結果に影響を与える可能性があります。
どちらも、上記の理由から誤差を含んだものになってしまう可能性はありますが、検査を行う専門家は、回答の傾向や子どもの実際の様子を総合的に考慮して結果を分析してくださいます。
新版K式発達検査では、検査の結果だけでなく、日常の観察や他の評価ツールを組み合わせるなど、複数の視点から評価することをして頂けたり
WISCにおいても、検査者はお子さんの特性を考慮しながら進めるため、必要に応じて休憩を挟むなどの調整をして頂けることもあります。
親として、検査結果は正直、凹みます。
我が子に障害があるなんて受け入れたくないという気持ちはあるものの、受け入れざるを得ない事実が判明し、気持ちがモヤモヤもします。
「じゃあどうしたらいいんだ!」という焦りや心配でいっぱいになることもあります。
また、「発達検査を受けた方がいい」と言われたからしょうがなく受けたという方も多いと思います。何をするかもわからずこの先もわからない状態で、「障害」という言葉を重く受け止め不安が大きくなる人も多くおられます。
「障害」という言葉に不安を感じるのは、それまで生きて来た世界から未知の世界に入ることになるため、ある意味自然な感情です。
不安が悪いわけではなく、ぜひその不安の正体をアウトプットしてみてください。
アウトプットし、言語化できれば、サポートしてくださる方たちとも共有し、そこから具体的なサポート方法も見えていきます。
サポートしていただける立場の方へ
実は、上記で書いたように最初から親御さんが前向きな意識を持って発達検査に臨むことは大変難しいことです。
そのため、検査を受けるよう勧めて頂いた先生などから、「検査結果を基に一緒に支援していきましょう」といったような声掛けがあると親御さんも発達検査を前向きに捉えやすくなります。
この検査は、お子さんに障害があるという評価を与えるために行うのではなくて、お子さんを知り、今後の支援に繋げるために行うものです。
検査結果を考慮し、環境整備などの支援や周りの理解が進んでいくと、子どもさんの生きやすさはアップしますし、のびのびとその子らしく生きやすくなることにつなげていけます。
また親御さんだけで検査結果を抱え込まないよう、また結果だけにフォーカスして一喜一憂することで終わることがないように、サポートしていただける立場の方、つまり先生方や特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなどにも共有し、一緒に支援方法を考え取り組んでいくためのものであることを親御さんに認識して頂けるといいなと思います。
発達検査により障害の度合い、得意不得意分野がわかります。
それを知ることで、お子さんの困り感や学習の困難さに対して、支援する側の理解が深まります。お子さんがその行動をする理由、背景の部分を知ることができます。
例えば、「読む」「書く」という普通ならばなんの不自由なくできることに困難を抱える学習障害がある子供に対して、「普通」を求められることは、お子さんにとってかなりきついことだということも理解できると思いまます。
「本人の努力だけではどうしようもできない部分があることをわかる」「特性の凸凹具合を理解する」これが支援の第一歩になります。
そこから、お子さんの特性を踏まえた支援や学習環境の工夫を考えていくことにつながります。
この発達検査の結果を生かすためにも、検査結果は口頭だけでなく、「残る資料をもらう」ことを考え、検査結果をコピーさせてもらったり、写真に撮らせてもらうなど「控えを頂く」ことをおすすめします。
また、こういった検査結果を残しておくことは、今後、お子さんが成人してから「20歳前障害による障害基礎年金」を受け取るための申請時に役立つ場合もあります。
更に、より土台部分のつまずきを特定でき、より特性に沿った支援内容を組み立てられるようになる 「感覚統合の検査」も次の段階として受けることをお勧めします。脳の交通整理と呼ばれる感覚統合についてはまた別の記事で書かせて頂きます。
会社員をしながら、双子の発達障害の男の子を育てた母親。現在、子ども達は成人し就労している。
子ども達が小学校の間は、登校の付き添い、朝の会までの補助、遠足や宿泊学習の付き添いを続けつつ、先生方と良好な関係性を築いて来た。
子育てや人間関係の困難な場面を乗り越えるべく、発達支援やコーチング、カウンセリングなどのスキル獲得や自己成長の場に身を置き続ける中で、2016年に佐々木浩一氏の提供するプログラムに出会い、その後も学びと実践を継続中。
現在では同じ発達障害の子を持つお母さんを含む女性たちを中心に各種講座やメンタルサポート(トラウマの解放を含むカウンセリング、コーチング)を行っている。
子育てや自身のメンタル立て直しを通じて経験した「相手を尊重し、寄り添い、受け入れ、励まし、共に歩む」というスタイルをクライアントに実践し、好評を得ている。
また人生の目標として「自分の過去の経験を人に貢献できる形にする」という志を持ち、現在までに電子書籍を3冊出版。
現在、商業出版の企画案が通り、「心が弱った状態から抜け出るための習慣(仮)」を執筆中。
発達障害の根本原因に対するアプローチについてまとめた電子書籍や動画講座を配信中
発達が気になるお子さんと関わっておられる方にご紹介頂けますと幸いです。
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