優しさと信頼の関係 〜優しさの前提を考えてみよう〜

【更新日】 2025年5月13日(火) コミュニケション・外国語運用能

優しさと信頼の関係
〜優しさの前提を考えてみよう〜


最近、息子がこんなことを言いました。

「学校の先生が優しすぎるから、嫌なんだよね。」

理由を聞いてみると、
「授業中うるさくて全然進まないし、嫌なことをしてる子がいても怒ってくれないから。」と。

なんだか、昔の自分を見ているようで、ドキッとしました。
私も、教員として初めて教壇に立った頃、よく言われていました。

「先生、優しすぎるよ。」と。

でも当時の私は、その“優しさ”の意味を、ちゃんと理解していませんでした。
どうすればいいのかも分からず、とにかく毎日が手探りで、
子どもたちの反応を見ながら、正解を探していた気がします。

ただ今思えば、あのときの私の優しさには、
“恐れ”が根っこにあったんだと思います。

「子どもたちに嫌われたくない」
「怒って空気が悪くなるのが怖い」
「優しい先生でいたい」
「ちゃんとしてると思われたい」

そういう気持ちが、私の“優しさ”を形作っていた。

もちろん、当時の私に「それって恐れでしょ?」なんて言ったら、
「そんなことない!」って全力で否定していたと思います。

でも、本当はわかっていたんです。
子どもたちの言葉が、私自身の心の状態を、そっと映してくれていたことを。


《優しさの形》


優しさって、きれいで、やわらかくて、温かいもの。
でも、その裏にある“前提”が何かによって、相手に届く形は変わってくる。

時にそれは、相手の顔色をうかがう「やさしさ」かもしれないし、
本当の優しさは、相手の未来を信じて、今必要なことを伝える強さだったりします。

本気で叱ること。
静かに待つこと。
信じて任せること。
境界線を引いて守ること。

そういった“行動”もすべて、
信頼が土台にあるからこそ、できる優しさなんだと、今なら思えます。



かつての私は、「信じてる」と言いながら、どこか守りに入っていました。
子どもたちのことを信じたいけど、自分の立場や評価も気になっていた。
だからこそ、勇気を出せなかった。

でも、
責任を持つことも、
心を開いて向き合うことも、
そして待つことも――
全部、勇気がいることなんですよね。

優しさって、案外、強さなんだと思うのです。



今、目の前にいる子どもたちとどう向き合うか。
あなたの中にある“優しさの源”を、ちょっとだけ立ち止まって見つめてみませんか?

「私は、この子たちを信じてる。」
その思いを、もう一度、自分の中で確かめてみてください。

優しさは、信じる力から生まれる。
そしてその優しさは、子どもたちにちゃんと届いていきます。



ゴールデンウィークが終わり、子どもたちも少しずつ新しい学級に馴染んでくるこの時期。
先生自身の心も、少し揺れる頃かもしれません。

でも、そんな時こそ、あなたの優しさと強さが、子どもたちの未来をそっと照らします。

明日からの教室に、
また新しい風が吹きますように。

あなたのその優しさが、子どもたちにとっての安心になりますように。


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■ 執筆者情報■森田恵
子どもが好きで教員を目指すが、挫折。退職を考えるも奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われるように。そんな教員時代の経験をもとに、悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。結婚を機に、渡米。10年の小学校教師の経験を活かし、渡米後は日本語の家庭教師や、現地校にて日本の文化を伝え、日本語を教えて過ごす。現在3児のママ。2度の流産経験により、食や環境、ママの状態が子どもへ与える影響などに興味を持つ。さらに、意識によってもたらされる変化を日々、体感を通して実践している。