優しさと信頼の関係
〜優しさの前提を考えてみよう〜
最近、息子がこんなことを言いました。
「学校の先生が優しすぎるから、嫌なんだよね。」
理由を聞いてみると、
「授業中うるさくて全然進まないし、嫌なことをしてる子がいても怒ってくれないから。」と。
なんだか、昔の自分を見ているようで、ドキッとしました。
私も、教員として初めて教壇に立った頃、よく言われていました。
「先生、優しすぎるよ。」と。
でも当時の私は、その“優しさ”の意味を、ちゃんと理解していませんでした。
どうすればいいのかも分からず、とにかく毎日が手探りで、
子どもたちの反応を見ながら、正解を探していた気がします。
ただ今思えば、あのときの私の優しさには、
“恐れ”が根っこにあったんだと思います。
「子どもたちに嫌われたくない」
「怒って空気が悪くなるのが怖い」
「優しい先生でいたい」
「ちゃんとしてると思われたい」
そういう気持ちが、私の“優しさ”を形作っていた。
もちろん、当時の私に「それって恐れでしょ?」なんて言ったら、
「そんなことない!」って全力で否定していたと思います。
でも、本当はわかっていたんです。
子どもたちの言葉が、私自身の心の状態を、そっと映してくれていたことを。
⸻
《優しさの形》
優しさって、きれいで、やわらかくて、温かいもの。
でも、その裏にある“前提”が何かによって、相手に届く形は変わってくる。
時にそれは、相手の顔色をうかがう「やさしさ」かもしれないし、
本当の優しさは、相手の未来を信じて、今必要なことを伝える強さだったりします。
本気で叱ること。
静かに待つこと。
信じて任せること。
境界線を引いて守ること。
そういった“行動”もすべて、
信頼が土台にあるからこそ、できる優しさなんだと、今なら思えます。
⸻
かつての私は、「信じてる」と言いながら、どこか守りに入っていました。
子どもたちのことを信じたいけど、自分の立場や評価も気になっていた。
だからこそ、勇気を出せなかった。
でも、
責任を持つことも、
心を開いて向き合うことも、
そして待つことも――
全部、勇気がいることなんですよね。
優しさって、案外、強さなんだと思うのです。
⸻
今、目の前にいる子どもたちとどう向き合うか。
あなたの中にある“優しさの源”を、ちょっとだけ立ち止まって見つめてみませんか?
「私は、この子たちを信じてる。」
その思いを、もう一度、自分の中で確かめてみてください。
優しさは、信じる力から生まれる。
そしてその優しさは、子どもたちにちゃんと届いていきます。
⸻
ゴールデンウィークが終わり、子どもたちも少しずつ新しい学級に馴染んでくるこの時期。
先生自身の心も、少し揺れる頃かもしれません。
でも、そんな時こそ、あなたの優しさと強さが、子どもたちの未来をそっと照らします。
明日からの教室に、
また新しい風が吹きますように。
あなたのその優しさが、子どもたちにとっての安心になりますように。
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■ 執筆者情報■森田恵
子どもが好きで教員を目指すが、挫折。退職を考えるも奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われるように。そんな教員時代の経験をもとに、悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。結婚を機に、渡米。10年の小学校教師の経験を活かし、渡米後は日本語の家庭教師や、現地校にて日本の文化を伝え、日本語を教えて過ごす。現在3児のママ。2度の流産経験により、食や環境、ママの状態が子どもへ与える影響などに興味を持つ。さらに、意識によってもたらされる変化を日々、体感を通して実践している。