こんにちは、叶めぐみと申します。
発達障害の子供たちを育てた経験をもとに
こちらのブログを書かせて頂いております。
35人の学級なら3人はいると言われている発達障害の子供たち。
支援級の先生はもちろん、通常級の先生方にとっても気になる存在だと思います。
その子供たちの背景や保護者から見えるものなど、
実体験をもとに当時を振り返りながら書かせていただきます。
子どもたちと日々関わっておられる先生方や保護者の方などへ発達障害についての理解が広がるきっかけになると幸いです。
過去2回、発達検査についてに絞ってブログを書かせて頂きました。
第1回目:発達検査で発達障害の診断を受けることのメリット、デメリット、更に「先生から発達検査を薦められる時にあるとありがたい配慮」について
第2回目:発達検査の大まかな種類や実際に発達検査を受けるにあたっての保護者としての注意事項や心構え、更にその検査結果をお子さんに活かすためのはじめの一歩について
第3回目の今回は、知能検査以上に重要な検査であり、発達障害かも?という風に感じられるお子さんにはぜひ受けていただきたい「感覚統合検査」についてです。
なぜ、ぜひ受けて頂きたい検査なのかというと-以下の2点の理由からです。
- 発達障害の子どもたちは、発達の「表層部分」だけではなく、土台部分(感覚統合)に課題があることが多い
- 土台(感覚統合)のつまづきを把握することで、適切なアプローチが可能になり、生活や学習、コミュニケーションの改善に繋がる
つまり、発達障害の子の背景を知ることができる検査だからです。
うちは幸いなことに、子どもが幼いうちにこの子どもたちの背景を知ることができました。
「子ども」という理由では済まなれい、数多くの現象を目の当たりにしました。
なんで、音に対してこんなに怖がるんだろう?
なんで、こんないつもふにゃふにゃしているんだろう?
なんで、こちらの話や指示を聞けないんだろう?
数えればきりがないくらい、子ども達の様々な理解不能の行動やこだわりの行動に戸惑っていた私でしたが、感覚統合の概念を知って一筋の希望を感じました。
あぁ、私とは感覚が「違う」だけなんだ。
そしてそこにアプローチしていくことで改善もしていける方法があるんだと。
発達障害の子供たちの言動が理解不能で困惑しているという方はぜひ、感覚統合の検査を受けてみてください。では、下記に少し説明を書きます。
感覚統合は「脳の情報の交通整理機能」であり、 交差点の信号や交通整理員のような働きをし、適切な反応を引き出す重要な機能です。
これを交差点に例えるなら、異なる方向からの車や歩行者(感覚情報)がスムーズに流れるように、信号や交通整理員(脳)が適切に制御するようなイメージです。
このような重要な機能を担う感覚統合の未発達が原因で「思ったように体を動かせない」「生活や学習で困難を抱えやすい」というのが発達障害の子の背景にあります。
感覚統合の検査内容は 以下の 7つの項目について、普通、強く出ている、出ない かを調べます。
姿勢を保ち、動きの調整をするためにとても重要な役割を果たします。例えば、体操やスポーツをする際、スムーズに動くために必要な感覚です。
検査では、 バランス感覚はどうか?回って目が回るかどうか?等を確認します。
発達障害の子どもたちにとっては、生活や学習に大きく影響を与える重要な要素になります。体に触れるものに対して 敏感か その反対か?を確認します。
3.固有受容感覚:筋肉・関節・腱にある感覚受容器を通じて、自分の体の位置や動き、力の加減を感じる能力
自分の体の位置や動き、力の加減を感じる感覚のことです。この感覚は、筋肉や関節、腱にある感覚受容器からの情報を脳が処理することで成り立っています。
検査では、 よくものを壊すか?動きのぎこちなさ等を確認します。
4.聴覚:音を聞いて適切に処理し、反応する能力
検査では、話しかけても気づきにくいことはないか?音が聞こえすぎることはないか?などを確認します。
5.視覚:目から入る情報を適切に処理し、周囲の環境を理解するための感覚
発達障害の子どもたちの中には、視覚情報の処理がうまくいかず、学習や日常生活に困難を抱える場合があります。検査では、見たもの気が散りやすいか?文字が読みやす火?などを確認します。
6.嗅覚:鼻を通じて匂いを感じ、周囲の環境を把握するための感覚
発達障害の子どもたちの中には、嗅覚に対する感度が極端に高かったり低かったりすることがあり、それが日常生活や食事、集中力に影響を及ぼす場合があります。
検査では、匂いについて 敏感か鈍感か?等を確認します。
7.味覚;食べ物や飲み物の味を感じる能力、食生活や健康管理に密接に関わる感覚
発達障害の子どもたちの中には、味の感じ方に過敏さや鈍感さがあり、それが偏食や食事の楽しさに影響を与える場合があります。
検査と言っても普段の生活での様子を見ている親が チェックするものです。
感覚統合の検査シートは 感覚統合学会のホームページでダウンロード可能ですので
なんと自分でもやってみることができます。
また、インターネットで「感覚統合検査 〇〇県(お住いの都道府県」で検索してみると近くで感覚統合の検査が受けられるところが見つかるかもしれません。
これらの中で 感覚に低すぎるまたは強すぎる感覚があった場合、
そこにどうアプローチするかを考えて個別に計画していきます。
簡単な例をあげておきます。
- ゆっくりした動きから慣れさせる(例:小さな揺れを体験する遊び)
- 動きの予測がしやすい環境で少しずつ活動を広げる
- 乗り物酔いを減らすために、姿勢や視線の調整を意識させる
- バランスを取る遊び(トランポリン、平均台、スキップ)を取り入れる
- 回転系の運動(ゆっくり回る、ジャンプして向きを変える)を試す
- 頭の動きを意識したトレーニング(目を閉じてバランスを取るなど)を実施
- 柔らかい素材の服を選ぶ(タグを切る、刺激の少ない素材を使用)
- 心地よい皮膚刺激を取り入れる(優しく撫でる、マッサージなど)
- 触れることへの抵抗を減らすために、段階的に慣れるトレーニングを実施
- さまざまな質感のものを触る経験を増やす(粘土・砂・水遊びなど)
- スキンシップを増やし、触れられる感覚に慣れる機会を作る
- 物を握ったり押したりすることで、力加減を意識する遊びを取り入れる
- ゆっくりした動作を促す活動を取り入れる(例:ヨガ・バランス遊び)
- 筋肉の緊張をほぐすストレッチやマッサージを行う
- 粗大運動(体全体を使った遊び)を積極的に取り入れる(例:トンネルくぐり、跳び箱)
- 重めのリュックを背負うことで、体の位置感覚をつかみやすくする
- 手や足を使う感覚トレーニング(粘土遊び・指を使ったゲーム)を活用する
トンネルくぐり
- ノイズキャンセリングイヤホンの活用
- 静かな環境で学習の機会を作る
- 音を段階的に慣らす感覚トレーニング
- はっきりした発声や視覚的サポートを組み合わせる
- 音のリズムを使った感覚トレーニング(TLPやリズム運動)
- 適度な明るさの環境を整える(暖色系の照明を使用)
- サングラスやブルーライトカットメガネを活用
- 余計な視覚情報を減らし、学習スペースをシンプルにする
- ビジョントレーニング(目の筋肉を使う練習)を取り入れる
- 視覚的サポート(線を引く、カラフルなマーカーを使う)を活用
- 動きを使った遊び(キャッチボール、ボールを目で追うトレーニング)を実施
- 強い匂いを避けた環境を整える(無香料の洗剤や柔軟剤を使用)
- 食べ物の匂いを薄める工夫をする(冷ましてから食べるなど)
- 徐々にさまざまな匂いに慣れさせるトレーニングを行う
- 匂いを意識する機会を増やす(「この食べ物の匂いはどう?」と問いかける)
- 香りの強いものを試しながら、嗅覚の感度を高める訓練をする
- 衛生面の習慣を身につけるために、定期的に「においチェック」をする習慣を作る
- 食事を楽しくする環境を整える(見た目や食器を工夫する)
- 徐々に新しい味に慣れるトレーニングを行う(少しずつ新しい食材を取り入れる)
- 味の刺激を減らすために、温度や調理法を工夫する
- 香りや食感を強調した食べ物を取り入れる
- 食事の楽しさを意識しながら、さまざまな味を試す機会を増やす
- 食べ物の鮮度を確認する習慣を作る
これらは、お家でできることや楽しく体遊びとして取り入れることもできます。
私も当時、うちの子供たちとよく似た子どもたちとで親子で一緒にこれらを踏まえた色々な遊びを通じて体遊びをして取り組んだこともありました。
無理せず、楽しく取り組むのがポイントだと思います。
また、内容を見て頂くとわかるように、「昔ながらの子ども遊び」という環境が現代では少なくなったために、十分に発達の土台が育っていないという要因も少なからずあるように思います。
なお、今では、放課後等ディサービスでも感覚統合を取り入れた活動をしているところもあるようです。
発達の土台である7つの感覚「前庭感覚、触覚、固有感覚、視覚、聴覚、嗅感、味覚」について、その過敏さ、鈍感さにアプローチについて書いてみました。これらにアプローチしていてもなかなか成果が見られない場合、更に土台にあたる 原始反射統合という概念にもぜ触れることをお勧めします。これはまた改めて記事にします。
会社員をしながら、双子の発達障害の男の子を育てた母親。現在、子ども達は成人し就労している。
子ども達が小学校の間は、登校の付き添い、朝の会までの補助、遠足や宿泊学習の付き添いを続けつつ、先生方と良好な関係性を築いて来た。
子育てや人間関係の困難な場面を乗り越えるべく、発達支援やコーチング、カウンセリングなどのスキル獲得や自己成長の場に身を置き続ける中で、2016年に佐々木浩一氏の提供するプログラムに出会い、その後も学びと実践を継続中。
現在では同じ発達障害の子を持つお母さんを含む女性たちを中心に各種講座やメンタルサポート(トラウマの解放を含むカウンセリング、コーチング)を行っている。
子育てや自身のメンタル立て直しを通じて経験した「相手を尊重し、寄り添い、受け入れ、励まし、共に歩む」というスタイルをクライアントに実践し、好評を得ている。
また人生の目標として「自分の過去の経験を人に貢献できる形にする」という志を持ち、現在までに電子書籍を3冊出版。
現在、商業出版の企画案が通り、「心が弱った状態から抜け出るための習慣(仮)」を執筆中。
発達障害の根本原因に対するアプローチについてまとめた電子書籍や動画講座を配信中
発達が気になるお子さんと関わっておられる方にご紹介頂けますと幸いです。
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