南の島からの働き方改革通信(6月30日号)
第2回:バランスを崩す5つの背景――その根にあるもの
子どもも教師も、なぜ心のバランスを崩してしまうのか。私なりに、5つの理由に整理してみました。
① 多忙さと働くルールへの無知・無理解
異常な業務量と時間外勤務に気づけたのは、組合の勉強会に参加したからです。部活顧問を続けていたら、気づく余裕すらなかったと思います。気づけなければ、きっと心身を壊していたことでしょう。
② 周囲の視線や評価の呪縛
部活を断ったことで、冷ややかな視線を浴びました。二年目の冬には辞めようと思ったこともあります。他者評価だけで自分を肯定してきた私は、そうした目から自由になるまでに時間がかかりました。
③ 目的を見失った“支配”の構造
宿題や挨拶運動など、なぜやるのか説明できない取組が、子どもにも教員にも負担となっています。従わない子どもに罰を与え、信頼関係が崩れ、自信を失う――その悪循環が続いているのです。
④ 「努力・継続・しっかり」の呪縛
無理をしてでも宿題をやる、続けることが美徳――こうした価値観が、子どもにも教員にも負担をかけています。心と身体が苦しいときに、休むという選択が許されにくい環境があるのです。
⑤ 価値観の多様化と、それを許さない空気
変化を感じ、声をあげようとする教員や保護者もいますが、同調圧力によって受け入れられないことがあります。それが職員室での孤立を生み、子どもたちにも苦しさを与えてしまいます。
こうした背景の根底にあるのは、「人権」という視点の欠如です。
次回は、この状況をどう捉え直し、「人権」という軸で教育を見つめ直す必要性について考えていきます。