学び合う文化を取り戻そう!

学び合う文化を取り戻そう!

『まんがで知る 教師の学び』
~カリキュラム・マネジメント~の学びを生かす


1.手順の説明


以下において、「第8章 カリキュラム・マネジメント~マネジメント(よりよい成果をあげるために)」の要約を行い、それについて批評します。
まず順を追って要約し、必要ならば補足します。

次に重要ポイントを1、2点絞ってピックアップし、それについて自分の視点からコメントし、批評していきます。
主張は論理的に行い、必要に応じて証拠をつけて説明し、最後に全体を要約して結論づけ、まとめていきます。

2. 本章のまとめ


・教師の仕事は一人でもできるが、日本の教師はお互いがもっている知識や技能を共有して学び合う文化がある。また、一人一人の先生方の小さな変化が、人とつながることで大きな変化となって学校全体が学び合う組織になる。

・子ども達の資質・能力を高める日々の授業とそれを含む教育課程全体を改善していくことが、カリキュラム・マネジメント※の本質である。

・教師は学級や学校のリーダ―にもなればマネージャー※にもなる。その役割を知り、役割に応じたスキルを身につけることができれば、より効果的な教育活動ができるのではないか。

3.疑問に思うこと


「日本の教師はお互いが持っている知識や技能を共有して学び合う文化がある」
この文を重要ポイントとして、ピックアップしました。

これをふまえた問題提起は下記の通りです。
「上記のことを著者は述べているが、最近ではそのような文化が失われつつあるのではないか。」

4.学びをどう生かすか


昔は寺小屋が良い例であるように、日本では多くの場で「学び合う場」が存在していたし、その文化も根付いていたといいます。
しかし、今はどうなのでしょう。
「本来持っていた文化を取り戻す」といった方が的確ではないのでしょうか。
それは感覚的に失われつつあるのも事実であるし、その「学び合い」とはどういうものなのかが分からない人も多いように感じます。

それは一つには家庭環境や教師自身が学んできた環境にもよります。
また職場である学校環境の変化もあると言えます。
「近年の教員の大量退職、大量採用の影響等により、教員の経験年数の均衡が顕著に崩れ始め、かつてのように先輩教員から若手教員への知識・技能の伝承をうまく図ることのできない状況があり、(・・・)早急な対応が必要である。」
(中央審議会の答申~これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~)

つまり今は、ベテランと言われる教員も年々、経験年齢が浅くなっています。
「教え、教わる関係」というよりも、「共に学び合う関係」に近づいているのが現状です。
しかしお互いに分からないことだらけ、しかも「学び合う」ことの経験がない教員が集まっても学び合いの場が生まれる可能性が低いのではないでしょうか。
もちろん、やっている学校もあり、そのような場を提供しているところもあります。

でもそのように学び合いを行っている人は少なく、学校等の組織で学び合える環境を作っていく必要があるのではないでしょうか。
またはそのような環境を求めて、自ら、学び合える場に飛び込むという方法もあります。

「学び合う」ことと平行して、それぞれの人が「知識や技能」を磨く必要性も出てきます。
本書の登場人物のように、「何が得意で何が分からないのか」などが明確であればあるほど、自分の能力を高めていけるし、それを「共有し、学び合う」環境を作り、その文化を取り戻すこともできるはずです。

つまり自分のことを知る必要があるのです。
それは人から指摘されたり、相談されて気づくこともあります。
または好きな分野を極めていき、それが知識・経験となれば、自分の強みとして共有できるようになることもあります。
忙しい合間に少し意識をして、「自分のもっている知識、経験」が何なのか、またどんな力を伸ばしたいのか等を考えていくことも大事なことです。

学び合う文化を取り戻すには、それぞれが「志」を持ち、それを諦めなければ到達するのではないかと思っています。

5.まとめ


私は学び合いの根本が分からず、でもどうにかしたい現実が目の前にあったので、「学べる場」を学校以外の場に求めて飛び込んでいきました。
しかし本書を読んでいくと、学校内でもいくらでも「学ぶ場」を作り出すことは可能だし、それを実践している人ももちろんいます。

意見のぶつかり合いはあって当然です。
それでも学びたい人が本当はたくさんいるのです。
日本中の多くの学校で、「共有して学び合う文化」が起これば、それは必ず子ども達へも影響を及ぼし、それが将来の日本を大きく変えることに繋がっていくことは間違いないでしょう。

【参照】


※カリキュラム・マネジメント
学校教育目標を実現するために、教育課程を編成し、それを実施・評価し改善していくこと。
『審議のまとめ』にも、「管理職のみならずすべての教職員が『カリキュラムマネジメント』の必要性を理解し、日々の授業等についても、教育課程全体の中での位置付けを意識しながら取り組む必要がある。」また、「全ての教職員が参加することによって学校の特色を創り上げていく営みである。」と述べられている。

※マネージャー
よりよい成果を上げることを行う者。優れたマネージャーの課題は部下の才能を業績に結び付ける一番の方法を見つけ出すこと
第1のスキル きちんと人を選ぶこと
第2のスキル 期待する仕事の内容をはっきり示すこと
第3のスキル 褒めることと認めること
第4のスキル 部下に気づかいを示すこと


■ 執筆者情報
meg【元小学校教師】
小学校教員の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。