教育者としての在り方~教育改革を前に考えておくべきこと~

教育者としての在り方~教育改革を前に考えておくべきこと~
なぜこの2020年というタイミングで、この内容の教育改革が行われるのでしょうか?
今ですら忙しくて手が回っていないのに、何でこんな内容の教育改革が行われるの?!
既存のものならまだしも、どうやって指導したらいいのか分からないし、それを学ぶ時間もないのに。

それが現実ですよね。
でも、この教育改革はチャンスでもあります。
今までの今日私生活を見直し、一人の人間として生きていく。
その生き方を体現していくチャンスなんです。

これを読まれている方の多くは、希望と夢をもって先生になった方が多いと思います。
その時の気持ちを思いだしてください。
これからの考え方、行動の仕方を変えるだけで、普段の指導に加え、教育改革でも動じることなく子どもたちに大切で必要なことを伝え、教え、ワクワクする毎日を送ることができるかもしれません。

今まで、現場の先生たちは決められた教育改革にのっとり、必死に指導してきました。
なんで?という疑問を胸にしまい込み、しなければならないことを時間と労力を結集して日々過ごしてきました。
楽しいと思うことももちろんあったけれど、
「もっと時間があればなぁ…。」
「もう次から次ぎへとやることがあふれてくるよ…。」
そんなグチを吐きたくなることもしばしばあったのではないでしょうか?

「そんなことないよ!毎日幸せで、楽しいことばかりで、時間も有意義に使えていて、教員はまさに私の天職なんだ!」
なんて人は、もうこの先は読まなくても大丈夫です。

でも少しでも引っかかりがあった人は、少し読み進めてみてください。
何か少しでもあなたのヒントになるかもしれません。

1.教師としての在り方とは?


 

まず考えてみてください。
「在り方」とは何でしょうか。
辞書には『物・人・物事の(当然そうあるべき)存在のしかた』と書いてあります。

教師として当然そうあるべき姿、教師としてどうあるべきか?
一度は考えたことがあると思います。
いや一度とは言わず、常に意識している。そんな方も多くいるのではないでしょうか。

日々忙しくしているけど、ふと
「私、教師としてやっていけるのかな。」
「僕は教師として、子ども達の前に立っていて問題ないのだろうか。」
そんな風に考えてしまうことがありますか。

私はよくありました。
私は教師として、間違っていないのだろか…。

では一体、どういう姿が教師としてあるべきなのか。

教師とは、子ども達の前に立ち、様々なことを教えることを仕事としています。
子どもたちが学校に通う時期には、親と関わるよりも長い時間、子どもと関わることになります。
もちろん、子ども達にとって一番身近な存在であり、影響を受けるのは親です。
しかし、その次に子ども達に大きな影響を与える可能性があるのは、学校の先生なのです。

知識や技能を教える。
でも、それだけであれば、おそらくとても近い将来、AIにその仕事はとられてしまうことでしょう。
でも、教師の仕事はそれだけではありません。
勉強を教えるだけではないんです。
だったら教育改革で学校を廃止して、塾に全てを任せるという流れになっているはずです。
でも、そんな流れはおそらく今のところやってこない。

子どもたちにとって、親の次に身近な存在であり、影響力の強い大人である教師の役目。
それは、教師という人間の生き方、生き様を示す、ということではないのでしょうか?

生身の人間からしか受け取れない、関わったその一人の教師の持つ人間からしか学べないことを学んでいく。
小学校の頃からそうやって教師から学び、吸収し、それが子ども達1人ひとりの一部分として多少なりとも影響を与えていく。

そう考えると、
「あ~、忙しい!何でこんなにやることが多いんだ。」
「明日も学校か~。行きたくないな。」
なんて思っている先生よりも、
「毎日が楽しくて仕方ない!」
と言っている先生に教わりたいですよね。

2.教師としての生き様を見せる。


「そんな風になりたいよ、もちろん。でもどうやって変われるの?」
「今までだって、私は必死に頑張ってきたのよ。それでも、学校が楽しいなんて思えないの。」
そんな声が聞こえてきます。

では、何をしていけばいいのでしょうか。
どうしたらいいのでしょうか。

教育に関する技術的なこと、テクニカルなことは、まずここでは置いておきます。
これはすぐに身につくものではなく、時間をかけて習得していくものだからです。

では何をするのか。
まずは教師1人ひとりが、自分が成長する姿を子ども達に示すことが必要だと思います。
教えるという立場で生きてきた先生たち。
もちろん、今までの経験を元に授業を展開したり、生活指導をしたりしていると思います。
もちろん、経験はとても大切な要素です。
しかし、その経験だけに頼り、ただ日々の仕事に追われて時間を過ごしていては、成長しているとは言い難いのではないのでしょうか。

つまり、先生というのは常に学び続ける必要があります。
なぜなら時代は特に今、ものすごいスピードで流れているからです。
その流れにのっていく必要があります。
そして、その流れの中で生きている子ども達もまた、日々変化しているいのです。

また、先生たちは「学校」という一つの組織の中で今のところ生きていくことができます。
しかし、子ども達はそういう訳にはいきません。
彼らが成長し、社会にでて働くようになった時、路頭に迷うのではなく、幸せに暮らすことができるようにするのも、先生の役割であると考えられます。

「でも、そんな子ども達の人生を担っているなんて、考えられないよ。だって、目の前のことで精一杯なんだから。」
まさにおっしゃる通りです。
子ども達の未来は、子ども達自身で切り開くものです。
だから今、先生たちがやることは、ご自身が1人の体現者として生きていくことなんです。
体現者とは、「抽象的なものを具体的な形として表すこと」と辞書には書いてあります。
日々、自分の成長する姿を子どもにみせる。
自分が自分の課題、目的に向かって成長している姿を、その生き様をみせる。

3.学び続ける


その生き様をみせるために、ではどうするのでしょうか。
それは先生自身が『学ぶ』ということです。

「え?!日々の忙しさに加えて、さらに学ぶの?無理だよ~。」
なんて声も聞こえてきそうです。

いきなり、毎週、講習会へ通ってください、本を何10冊買ってください、なんていうのは難しいと思います。というよりも無理ですよね。

だから、小さなことからで良いと思います。
自分で出来そうなことから取り組んでみてください。
『学ぶ』とは、本来楽しいもののはずです。
だって、その『学ぶ』楽しさを教えているのは先生自身なんです。
先生が『学ぶ』楽しさを味わっていなかったら、それを子どもたちに伝えるのは難しいですよね。
まさにこれが体現者としての姿なのです。

4.学び方~自分を磨く方法~


次はその『学ぶ』方法です。
これは限りなくあります。
書籍を読んだり、先輩の先生に聞くだけでもたくさん出てくると思います。
授業の上手い先生や、学級経営(学級を運営すること。)が上手く言っている先生をつかまえて、
「どうしたら、もっと授業が上手くなりますか?」
「どうすれば、クラスが荒れずにすみますか?」
と聞いてみるのも手です。
でも、聞く人を間違えるとそのせっかくの『学び』が間違った方へ進んでしまうので気をつけてください。

こうやって書籍や人から学び、それを生かして自分のものにする。
このように過去、そして今現在、多くの先生が残してくれた成功した実例を集めたものを、「教育技術」と言います。
そのようにインプットをしていくのと同時に、アウトプットしながら自分の力を磨いていく方法があります。

自分の現在地はどのようなものかを自覚して、それをさらに磨いていく方法です。
いくつか例を出します。

〈授業開始5分の音声を録音する〉
1分でも構いません。自分の声を録音してみてください。
やったことがない人は、ぜひお勧めです。
いかに無駄な言葉を言っているのかが一発で分かります。
テープレコーダーでもあれば簡単ですが、携帯電話の録音機能でも良いと思います。
また「子ども達がいるところではそんな機械類をいじれない。」というなら、放課後、授業をするつもりで5分でも1分でも次の日の授業を練習がてら、音声をとってみるのも良いかと思います。

ここでみえてくるもの。
それは『無駄な言葉』『自分の癖』『声の大きさ』『声のトーン』などです。
実際にその声を聞いているのは子ども達です。
授業を受ける側になったつもりで、聞いてみてください。
慣れてきたら、教室の一番後ろに置くと、声が一番後ろの子どもにはどう聞こえているのかを知ることができます。
同じように、ビデオを撮ってみると、また違ったことがみえてきて、それが学びにつながります。

〈振り返りをする〉
一日の流れ、出来事などを書き出し、自分を客観的にみます。
すると、
「あそこでは、この指示を出した方が良かったかもしれない。」
「そういえば、最近同じ子どもととの関わりが多いな。明日は意識して○さんをほめよう。」
など、その場では見えなかったことが見えてきます。
それを振り返ることで、また一歩、昨日の自分から成長できます。
もちろん、はじめは思い出すだけでもものすごい時間がかかります。
でも慣れてくれば、スッとかけるようになります。
これを他の先生からも意見をもらい、別の方向からみてみると、それがさらに違った発見につながります。
同じように学んでいる先生だったら、アドバイスをし合えるかもしれません。

特に一年目は、がむしゃらでいいので、インプットとアウトプットを繰り返し、たくさん学んでください。

5.最後に


『学ぶ』ということは、なぜ楽しいのでしょうか。

今まで知らなかったことを学んで、自分の考えが変わった。
興味がなかったのに、学び始めたら様々な関係性が見えてきて、自分の興味の範囲が広がった。
このように、学ぶことによって自分が変わることを実感出来たとき、人はワクワクするのではないのでしょうか。

 

この楽しさを子どもたちに伝えるためにも、先生たち自身がぜひとも学ぶ楽しさを思い出してください。
多くの先生が、楽しく学び続ける姿が日本中に溢れたら…日本の将来は素晴らしいものになるのでしょうね。

 


執筆者情報

meg【教師】
小学校教員の経験をもとに、学校現場での悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。