■「信頼してください」と言われても
教育の現場では、よく
「子どもを信じて任せよう」
「仲間を信頼しよう」
「保護者と信頼関係を築こう」
という言葉が使われます。
それは確かに正しいし、理想でもあります。
でも、日々の現場で子どもたちと向き合う先生方は、時にこう感じていないでしょうか。
「信頼したいのに、できない」
「もう十分信頼してるのに、裏切られる気がして苦しい」
「あの子を信じるって、どういうことなんだろう」
そんなとき、私たちは“信頼”を外の出来事として見つめがちです。
つまり、「信頼できるかどうか」は、
子どもや周囲の“行動次第”だと
思い込んでしまうのです。
でも本当は、信頼とは他者に向ける前に、
自分自身との関係から始まるものなのかもしれません。
■信頼の出発点は、「今日の自分でいい」と思えること
ここ数ヶ月、私は「呼吸」をテーマに発信を続けてきました。
なぜ呼吸なのかというと、
それは単なるリラクゼーションや
メンタルトレーニングではなく、
“自分との信頼”を育てるための
最も身近で確かな方法だからです。
私たちは毎日、目まぐるしいスピードで判断し、対応し、対応し続けています。
「次の授業は?」
「指導案は?」
「明日の連絡は?」
そんなふうに頭の中が“未来”でいっぱいになると、
心と体はいつの間にか“今”から切り離されてしまいます。
呼吸に意識を向けるというのは、
「いま、ここに戻る」行為です。
そしてそれは、
「いまの自分で大丈夫」と静かに受け入れることでもあります。
自分に信頼が生まれた瞬間、
「子どもを信じなきゃ」と無理に頑張らなくても、
自然と相手を見守る余裕が生まれます。
焦りが和らぎ、言葉のトーンが落ち着き、
子どもの表情にも変化が見えてくる。
そんな“小さな奇跡”が、現場では何度も起こります。
■「信頼できない自分」を責めない
とはいえ、私たちは人間です。
うまく信じられない日も、イライラしてしまう瞬間もある。
そんな自分を見つけたとき、
「またできなかった」と責めてしまう人が
とても多い。
でも、信頼とは完璧さではなく、
揺れながら戻ってくる力です。
呼吸と同じように、
止まってもいい、浅くてもいい。
また戻れれば、それでいいのです。
つまり、「信頼できない」と感じるその瞬間こそ、
あなたの中で“もう一度、自分とつながるチャンス”が来ているということ。
だからこそ、まずは立ち止まって深呼吸をしてみてください。
「今の私、よくやってる」
その一言を、
内側の自分にかけてあげてほしいのです。
■子どもを信じることの本当の意味
子どもを信じるというのは、
「期待通りに動いてくれる」と信じることではありません。
「この子の中には、自分で気づき、選び、成長していく力がある」と信じること。
それを心から感じられるためには、
まず自分の中にも“成長しようとする力”を見てあげる必要があります。
他人を信じる力と、
自分を信じる力はセットです。
どちらか片方だけでは長続きしません。
だからこそ、子どもを信じたいなら、
「自分を信じる」ことを日々練習していく必要がある。
呼吸はその練習の入り口です。
■信頼は築くものではなく、思い出すもの
信頼という言葉を「築く」と言うけれど、
私は最近、「思い出す」という言葉のほうがしっくりきています。
本当は誰もが最初から、
自分を、そして人を信じる力を持っている。
ただ、忙しさや責任感の中で、
それを一時的に忘れているだけなのです。
だから、この12月は「思い出す時間」を過ごしてみてください。
次の学期の計画や評価表の山の中でも、
ふと一呼吸して、「私は信じている」と小さくつぶやいてみる。
それだけで、空気が少し柔らかくなり、
周りとの関係にも微かな温度の変化が生まれるはずです。
■おわりに
「信頼してください」と言われて、
“できない自分”に焦る必要はありません。
信頼とは、努力して獲得するものではなく、
呼吸のように思い出すものだから。
自分を信じるという一歩が、
子どもを、仲間を、保護者を信じる第一歩になります。
そして、その循環が始まったとき、
教室という空間は、
もう一度「安心の場」へと還っていくのです。
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■ 執筆者情報■森田恵
子どもが好きで教員を目指すが、挫折。退職を考えるも奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われるように。そんな教員時代の経験をもとに、悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。結婚を機に、渡米。10年の小学校教師の経験を活かし、渡米後は日本語の家庭教師や、現地校にて日本の文化を伝え、日本語を教えて過ごす。現在3児のママ。2度の流産経験により、食や環境、ママの状態が子どもへ与える影響などに興味を持つ。さらに、意識によってもたらされる変化を日々、体感を通して実践している。