「信頼」はどこから始まるのか〜子どもを信じる前に立ち止まりたいこと〜

【更新日】 2025年12月1日(月) コミュニケション・外国語運用能
 

■「信頼してください」と言われても


教育の現場では、よく
「子どもを信じて任せよう」
「仲間を信頼しよう」
「保護者と信頼関係を築こう」
という言葉が使われます。

それは確かに正しいし、理想でもあります。
でも、日々の現場で子どもたちと向き合う先生方は、時にこう感じていないでしょうか。

「信頼したいのに、できない」
「もう十分信頼してるのに、裏切られる気がして苦しい」
「あの子を信じるって、どういうことなんだろう」

そんなとき、私たちは“信頼”を外の出来事として見つめがちです。

つまり、「信頼できるかどうか」は、
子どもや周囲の“行動次第”だと
思い込んでしまうのです。

でも本当は、信頼とは他者に向ける前に、
自分自身との関係から始まるものなのかもしれません。

 

■信頼の出発点は、「今日の自分でいい」と思えること


ここ数ヶ月、私は「呼吸」をテーマに発信を続けてきました。
なぜ呼吸なのかというと、
それは単なるリラクゼーションや
メンタルトレーニングではなく、
“自分との信頼”を育てるための
最も身近で確かな方法だからです。

私たちは毎日、目まぐるしいスピードで判断し、対応し、対応し続けています。

「次の授業は?」
「指導案は?」
「明日の連絡は?」
そんなふうに頭の中が“未来”でいっぱいになると、
心と体はいつの間にか“今”から切り離されてしまいます。

呼吸に意識を向けるというのは、
「いま、ここに戻る」行為です。

そしてそれは、
「いまの自分で大丈夫」と静かに受け入れることでもあります。

自分に信頼が生まれた瞬間、
「子どもを信じなきゃ」と無理に頑張らなくても、
自然と相手を見守る余裕が生まれます。

焦りが和らぎ、言葉のトーンが落ち着き、
子どもの表情にも変化が見えてくる。

そんな“小さな奇跡”が、現場では何度も起こります。
 

■「信頼できない自分」を責めない


とはいえ、私たちは人間です。
うまく信じられない日も、イライラしてしまう瞬間もある。

そんな自分を見つけたとき、
「またできなかった」と責めてしまう人が
とても多い。

でも、信頼とは完璧さではなく、
揺れながら戻ってくる力です。
呼吸と同じように、
止まってもいい、浅くてもいい。

また戻れれば、それでいいのです。

つまり、「信頼できない」と感じるその瞬間こそ、
あなたの中で“もう一度、自分とつながるチャンス”が来ているということ。

だからこそ、まずは立ち止まって深呼吸をしてみてください。

「今の私、よくやってる」
その一言を、
内側の自分にかけてあげてほしいのです。

 

■子どもを信じることの本当の意味


子どもを信じるというのは、
「期待通りに動いてくれる」と信じることではありません。

「この子の中には、自分で気づき、選び、成長していく力がある」と信じること。

それを心から感じられるためには、
まず自分の中にも“成長しようとする力”を見てあげる必要があります。

他人を信じる力と、
自分を信じる力はセットです。

どちらか片方だけでは長続きしません。
だからこそ、子どもを信じたいなら、
「自分を信じる」ことを日々練習していく必要がある。

呼吸はその練習の入り口です。

 

■信頼は築くものではなく、思い出すもの


信頼という言葉を「築く」と言うけれど、
私は最近、「思い出す」という言葉のほうがしっくりきています。

本当は誰もが最初から、
自分を、そして人を信じる力を持っている。

ただ、忙しさや責任感の中で、
それを一時的に忘れているだけなのです。

だから、この12月は「思い出す時間」を過ごしてみてください。

次の学期の計画や評価表の山の中でも、
ふと一呼吸して、「私は信じている」と小さくつぶやいてみる。

それだけで、空気が少し柔らかくなり、
周りとの関係にも微かな温度の変化が生まれるはずです。

 

■おわりに


「信頼してください」と言われて、
“できない自分”に焦る必要はありません。

信頼とは、努力して獲得するものではなく、
呼吸のように思い出すものだから。

自分を信じるという一歩が、
子どもを、仲間を、保護者を信じる第一歩になります。
そして、その循環が始まったとき、
教室という空間は、
もう一度「安心の場」へと還っていくのです。

--------------------
共育の杜のセミナー情報はこちらから

セミナー情報

_________
この度、電子書籍を出版することになりました。
良かったら読んでみてください。




―――――――――
定期的に共育の杜からメルマガを配信しています。

メルマガ登録はこちら

―――――――――
ブログに関しての質問や感想、聞きたいこと、トピックとして挙げてほしいことなどありましたら、下記までメッセージをください。

こちらから

■ 執筆者情報■森田恵
子どもが好きで教員を目指すが、挫折。退職を考えるも奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われるように。そんな教員時代の経験をもとに、悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。結婚を機に、渡米。10年の小学校教師の経験を活かし、渡米後は日本語の家庭教師や、現地校にて日本の文化を伝え、日本語を教えて過ごす。現在3児のママ。2度の流産経験により、食や環境、ママの状態が子どもへ与える影響などに興味を持つ。さらに、意識によってもたらされる変化を日々、体感を通して実践している。