学校では、なぜ「呼吸」が使われにくいのか

【更新日】 2026年1月12日(月・祝) コミュニケション・外国語運用能

⁡忙しさの中で、私たちが置き去りにしているもの


教室で、子どもが荒れている。
泣いている。
怒っている。
動けなくなっている。

そんな場面で、私たちは何をしようとするでしょうか。

声をかける。
理由を聞く。
説明する。
切り替えさせる。

どれも、間違ってはいないし、どれも正解です。
でも、うまくいかないときも、あると言われたら、Yesを取れるのではないでしょうか。

「時間がない」が、呼吸を遠ざける


学校では、常に時間に追われています。

次の授業。
時間割。
周囲の目。
「早く落ち着かせなければ」という焦り。

呼吸は、どうしても
「時間があるときにやるもの」
「余裕がある人のもの」
のように扱われがちです。

でも実際には、
一番余裕がないときこそ、必要なものなのかもしれません。


言葉が通らないのは、能力の問題ではない


子どもが話を聞かないとき、
私たちはつい、
「分かっていない」
「理解が足りない」
「分かろうとしない」
と捉えてしまうことが多いのではないでしょうか。

けれど、子どもの感情が大きく動いているとき、
子どもは「分かっていない」のではなく、
「聞ける状態にいない」ことがほとんどです。

その状態で、
どんなに丁寧な言葉を重ねても、
届かないのは自然なことです。

大人自身が、緊張している


ここで、少し視点を変えてみます。

子どもが荒れているとき、
その場にいる大人の身体は、どうなっているでしょうか。

・呼吸が浅くなっている
・肩に力が入っている
・声が少し高くなっている
・「なんとかしなければ」と思っている

これは、子どもだけでなく、
大人の神経も緊張している状態です。

呼吸は、
まずこの状態に気づくための合図になります。

「呼吸をする」と決める、という判断


呼吸は、自然にできる人だけが使えるものではありません。

学校では、
「今は説明より、呼吸だ」
と判断することが必要になります。

それは、
・指導を放棄することでも
・甘やかすことでも
・問題を先送りにすることでもありません。

むしろ、
「今は整える段階」
「話すのは、そのあと」
と見極める、専門性の一つです。

教室でできる、現実的な形


特別なことは必要ありません。

・先生が、まず一度息を吐く
・子どもに「吸って、吐いて」と短く伝える
・手の動きを使う
・全体が難しければ、少し距離をとる

それだけで、
場の空気が変わることがあります。

大切なのは、
先生が落ち着こうとしている姿そのものです。


呼吸は「正解」を出すためのものではない


呼吸をしたからといって、
すぐに問題が解決するとは限りません。

でも、
・これ以上悪くならない
・話ができる土台ができる
・安心の感覚が戻る

それだけで、十分な意味があります。

学校は、
「すぐに答えを出す場所」ではなく、
「戻れる場所」であっていい。
そう私は思います。

おわりに


呼吸は、
忙しさを止めるための行為ではありません。

忙しさの中でも、
人として立ち戻るための、小さな判断です。

その判断を、
教員自身が自分に許せるようになると、
子どもとの関係も、少しずつ変わっていきます。

一見、呼吸をするというのは、無意味に思うことかもしれません。
でも、私は思うのです。
私たちは損得に囚われすぎたり、子どもたちに結果を出させることにフォーカスしてしまっていたり、
つい目先のことに注力しがちだったり。

だからこそ、当たり前の「呼吸」に意識を向けて、
命を繋ぐこの「呼吸」という超土台と
丁寧に向き合いながら生きていく。

それが今、この時代にとても必要不可欠なのではないかと思っています。

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■ 執筆者情報■森田恵
子どもが好きで教員を目指すが、挫折。退職を考えるも奮闘し、次第に毎日が楽しく、子ども達からも「先生大好き!」と言われるように。そんな教員時代の経験をもとに、悩みを持つ人に役立つことを伝える活動を行っている。結婚を機に、渡米。10年の小学校教師の経験を活かし、渡米後は日本語の家庭教師や、現地校にて日本の文化を伝え、日本語を教えて過ごす。現在3児のママ。2度の流産経験により、食や環境、ママの状態が子どもへ与える影響などに興味を持つ。さらに、意識によってもたらされる変化を日々、体感を通して実践している。